FSCでは長年、1994年以降に自然林の転換を行った場所については認証取得ができないことになっていました。これにより、特に発展途上国における多くの林地が認証の対象とはならず、FSC制度から排除されてきました。これはつまり、森林破壊が最も深刻に進行している場所で、森林管理の慣行を改善するツールとしてFSC認証は使えず、現状を変えることができないということでもありました。これに対し、2017年の総会では、1994年以降に自然林を転換した人工林において、復元と保全を通じて過去の転換に対処することを条件として認証取得を可能とする動議が可決。これに対応するものとして、2022年8月のFSC国際理事会では、「林地転換への対応方針」が採択されています。

今回の総会で可決された動議は、既に決定しているこの方向性に従い、FSC FM認証審査で使われる規格の骨組みであるFSCの原則と基準を変更し、破壊された森林やその他の価値を補償する要求事項を組み込むことを求めるものでした。方針がFSCの原則と基準に反映され、それを基に各国・地域の規格が策定されることにより、実際のFM認証審査で規格を使用し、1994年以降に転換された林地でも認証が可能になります。

こうした一連の変更により、世界中でFSC認証をツールとして多くの森林が復元され、責任ある方法で管理される森林が増える道が開かれることになります。これにより、FSCは森林破壊や劣化した土地を回復させるためのインセンティブとなり、世界各地の森林問題の改善に向けて重要な役割を果たすことができると期待されています。