取引情報の照合

FSC認証サプライチェーン内で発生する不正確な情報をなくしていくことは必須です。特にリスクの高いサプライチェーンにおいてこれは重要です。取引情報の照合(TV)はFSC CoC規格に規定されており、販売製品のFSC取引情報が正確であり、取引先から購入した原材料のFSC取引情報と整合するかどうかを検証するための手続きです。

取引情報の照合
FSC Denmark / Bablu Singh

比較と検証

取引情報の照合は、特定の製品タイプやグループ、特定の地域や期間におけるすべての取引情報を比較し、検証するための手続きです。

取引情報の照合が必要と判断された場合は認証機関に通知され、また認証取得者は、認証機関による取引データの収集に協力するよう要請されます。規格には次のように書かれています:

組織は、要請に応じて原材料及び製品のサンプルや見本、そして樹種構成に関する情報を提供することで、検証のために自身の認証機関及び ASI が行うファイバーテストに協力しなければならない。

この要求事項の意図は、FSCが体系的にリスクの高い製品タイプ、樹種、地域を調査し、不正確な取引情報の発生を抑制することを可能とすることです。すべてのFSC CoC認証取得者は必要に応じて取引情報の照合へ協力することが求められます。請求書上の関連データのみを収集するため金額情報などは不要です。

手続き

ステップ8から10はサプライチェーンに高いリスクが確認された際には複数回繰り返されます。

step
01

潜在的なリスクの特定

他者からの情報等によるサプライチェーン内でのリスクの懸念

step
02

リスクの検証

ASIによってリスクレベルを調べるための調査が実施されます。これにはスポット監査も含まれます。

step
03

リスク評価報告書がFSCに送られる

ASIがリスクレベルを評価し、その後の行動に関する勧告を含む報告書をFSCに提出

step
04

サプライチェーン信頼性の専門家による勧告

ASI調査に基づき、FSCサプライチェーン信頼性チームがFSCサプライチェーン信頼性推進委員会に対して、今後の行動について勧告をします。

step
05

取引情報の照合の実施が決定

FSCサプライチェーン信頼性推進員会によって、対象サプライチェーンに他する取引情報の照合実施が決定されます。

step
06

すべての認証機関へ通知

すべての認証機関はASIによって、これから行われる取引情報の照合について、対象となる認証取得者や取引データ提出期限などの連絡を受けます。

step
07

対象となる認証取得者への連絡

対象となる認証取得者は、自身の認証機関から連絡を受けます。

step
08

取引情報の照合に必要なデータの収集と分析(取引情報照合調査第1段階)

取引情報照合調査の範囲に含まれるすべての認証書取得者は、特定の時間枠における販売と購入のデータを、認証機関を通じてASIに提出するよう要求されます。ASIはデータを収集・分析し、量の不一致や不正の可能性を示す特定のサプライチェーン・クラスターを絞り込みます。
 

step
09

取引データの検証(取引情報照合調査第2段階)

この段階では、ASIは書類審査により潜在的なミスマッチを検証します。重大な不適合のリスクが最も高い認証書取得者は、この段階で明らかになります。

step
10

不整合に対する措置と提言(取引情報照合調査第3段階)

TV調査の最終段階です。前段階の調査結果に基づき、認証取得者による不正行為が発覚した場合、認証のブロックについての勧告がなされ、関連する認証機関およびFSCに伝えられます。ASIはまた、FSCの認証システムの完全性を改善するための見解と勧告をFSCに出します。

よくある質問

  1. 認証取得者はどのように要請データを提出しますか?

    FSCによって提供されるフォーマットを用いて提出することが可能です。フォーマットには対象製品の購入量、販売量や取引番号が含まれます。

  2. 認証取得者は、どのようにして自身が取引情報の照合の対象となっているかを知ることができますか?

    認証機関によって通知されます。この際、必要な取引データの詳細と提出期限が通知されます。

  3. 取引データは誰が収集しますか?守秘義務契約は結んでいますか?

    取引情報の照合にあたってまずは認証機関が認証取得者から取引データを収集します。

    FSC-STD-20-001の1.8項に従い、すべての認証活動同様に認証機関は、法的な契約を通じて、認証活動期間に発生するすべての情報を管理する責任を負っています。FSC-STD-20-001の2.4.2項に従い、認証機関はFSC要求事項を実施するために関連する記録を特定、輸送、移転、保管、保護、回収、そして破棄するための権限を定めなければなりません。従って認証取得者が取引情報の照合に関する懸念がある場合は認証機関に対してその懸念を伝える必要があります。

    認証機関は、FSC-STD-20-001に基づき、認証取得者との間に必要な契約を結ぶ義務を負っています。

  4. データの処理は誰が行いますか?

    認証機関は、取引データをASIに提出します。ASIが認証取得者のFSCアウトプットデータがFSCインプットデータと整合するか検証を行います。このような確認工程はFSCのような第三者認証制度には必須です。

  5. 取引相手のデータと一致しない場合はどうなりますか?

    ASIによって、取引相手の取引データとの不一致が確認された場合、ASIは、その認証取得者の認証機関に連絡をして、更なる調査のための追加データを要請します。

  6. 提出されたデータをFSCは入手し、保管しますか?

    取引情報の照合を実施する際に、FSCは通常はそのデータを受け取ることはありません。しかし、ASIの調査によって発覚した不適合についてはすべてのデータをFSCも受け取ります。これはFSC制度の評判を守るための適切な措置をとるために必要だからです。FSCはASIおよび認証機関とこのようなデータを扱うための契約を結んでいます。

  7. 取引情報の照合は世界中で同じように実施されるのですか?

    はい、世界中で同じ方法で実施されます。しかし虚偽表示のリスク分析に基づきFSCとASIは取引情報の照合を集中的に行う地域やサプライチェーンを決めています。

  8. 認証取得者が取引データの提出を拒んだ場合はどうなりますか?

    取引データ提出を拒否することは認証機関との契約履行違反となります。認証機関によって示された期限までに情報を提出できない場合は、認証機関によって是正処置要求が発行されるか、または認証が一時停止/取消しとなります。

  9. 非認証取得者による虚偽表示にはどのように対応しますか?

    非認証取得者によるFSCラベルの不正使用についてはFSC法務部とFSC商標チームが対応します。FSC商標の不正使用について調査を行った後に必要な法的措置を取ります。

  10. 取引情報の照合のために提出が必要なデータには何が含まれますか?

    取引相手の情報(例:名称、認証番号)、数量、取引単位、FSC表示、製品タイプ、樹種の情報が含まれます。必要に応じて取引番号、取引日、製品名、原産国等の情報も求められます。金額に関する情報は不要です。データは特定の樹種、製品タイプ、または期間について求められ、特定のフォーマットでの提出を求められます。

現在進行中の取引情報の照合対象ケース一覧

こちらのFSC国際事務局のウェブサイトから現在進行中の取引情報の照合対象となっているケースの最新情報の一覧がご確認いただけます。