FSCと関係を持つ個人、組織すべてに該当する要求事項
FSC認証を取得希望する、またはプロモーションライセンスを取得希望する個人や組織は、「組織とFSCとの関係に関する指針」への誓約を求められます。この中でFSCは森林施業における伝統的権利及び人権の侵害に直接的または間接的に関与していない組織との関係のみを認めることが規定されています。
森林管理(FM)認証における人権配慮
FSC森林管理(FM)認証を取得するためには、FSCの原則と基準を満たす必要があります。原則と基準では「人権」という表現を用いる代わりに、労働者の権利、地域社会の法的及び慣習的な権利、先住民族の法的及び慣習的な権利について要求事項を定めています。具体的には以下の原則における各基準への適合が求められます(各基準の要求事項は上記リンク先のFSCの原則と基準をご覧ください)。
人権の尊重に関する要求事項を規定した項目:
- 原則1(法律の順守):基準1.3、1.6
- 原則2(労働者の権利と労働環境):すべての基準
- 原則3(先住民族の権利):すべての基準
- 原則4(地域社会との関係):原則4.1、4.2、4.5、4.6
- 原則9(高い保護価値):基準9.1(HCV 5とHCV6について)、基準9.2
上記項目の確実な履行を規定した項目:
- 原則7:基準7.6
- 原則8:基準8.2
管理木材規格における人権配慮
FSC認証製品には認証林由来の林産物だけで作られているFSC100%製品の他に、回収原材料や管理木材と呼ばれる原材料を混ぜたFSCミックス製品も存在します。管理木材として認められるためには、「FSCナショナルリスクアセスメントの枠組み(FSC-PRO-60-002a 第1-0版)」という文書の第4項に規定されている「管理木材カテゴリー2:伝統的権利及び人権を侵害して伐採された木材」でないことを証明することが求められます。詳細は同文書の「表 2 伝統的権利および人権の評価に関する要求事項」をご覧ください。
CoC認証における人権配慮
すべてのCoC認証取得者は、CoC規格(FSC-STD-40-004第3-1版)の1.3項に基づき、森林施業における伝統的権利及び人権の侵害に直接または間接的に関わらないこと、そしてILO中核的労働基準(結社の自由、団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の撤廃)への違反に直接または間接的に関わらないことを誓約することが求められます。
また、同規格1.4項では、労働者の安全衛生に関する取り組みが求められます。安全衛生に関する取り組みについては認証機関による毎年の審査・監査の際に確認がされます。
1.5項ではFSCの中核的労働要求事項を含む方針声明を導入し、実施することが求められます。
1.6項では、FSC の中核的労働要求事項の順守を示す自己評価の実施が求められます。自己評価のテンプレートは付則Dにて提供されています。
1.5項、1.6項についても認証機関による毎年の審査・監査で確認がされます。
FSC の中核的労働要求事項の具体的な内容は第7項に示されており、これはILOの中核的労働基準(結社の自由、団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の撤廃)に沿ったものです。