管理木材(管理木材国内リスクアセスメント)

管理木材(Controlled Wood)は、認証材ではないものの、FSCが容認しない5つの木材カテゴリーには属さない、またはこのカテゴリーの木材である可能性は低いと確認された木材のことです。

Controlled Wood
FSC

管理木材

FSCが容認しない5つの木材カテゴリーは以下の通りです:

1. 違法に伐採された木材
2. 伝統的権利、人権を侵害して伐採された木材
3. 高い保護価値を有し、その価値が施業活動によって脅かされている森林で伐採された木材
4. 天然林の転換を目的とした伐採によって搬出された木材
5. 遺伝子組み換え樹木が植えられたエリアから伐採された木材

管理木材は、認証材とは違い、最終消費者の目に届くことはなく、認証取得組織間のみで取引されます。管理木材を仕入れたCoC認証取得済みの加工業者は加工の際、管理木材を認証材と混ぜて加工し、認証原材料の含有量が規定量を満たしている製品にFSCミックス表示をつけて販売することができます。管理木材の扱いは認証範囲で特定されてなくてはならず、適格性は認証機関によって確認されます。

管理木材と認められるには、原産地である森林が「森林管理業者のためのFSC管理木材規格」(FSC-STD-30-010)に基づいて認定認証機関により認証されているか、または組織のCoC認証範囲に管理木材原材料の調達が含まれ、認証機関によって管理木材調達の規格(FSC-STD-40-005)に適合していることが検証されている必要があります。

後者の場合、組織は独自にデュー・デリジェンスシステムを構築し、木材原産地やサプライチェーンにおいてFSCが許容しない木材が混入しているリスクを評価し、混入のリスクが小さいことを認証機関に確認してもらう必要があります。このリスク評価については、国ごとに異なり、FSCが承認したリスクアセスメント(ナショナルリスクアセスメント)がある国では、それを使うことが求められています。

管理木材国内リスクアセスメント

2018年6月27日付でFSC-PRO-60-002第3-0版に基づく、日本の管理木材ナショナルリスクアセスメント(NRA)が承認されました。

日本国内で管理木材を調達する際には、FSC-STD-40-005第3-1版に基づきデューディリジェンスシステムを構築し、その中でNRAを使用する必要があります。2014年8月FSC本部により承認されたナショナルリスクアセスメント(旧NRA)は、2018年12月26日までに使用を停止し、それ以降は2018年6月27日に承認されたナショナルリスクアセスメント(新NRA)を使用することが求められます。

2018年6月27日承認のNRAは、英語原文、日本語参考訳ともにこちらのページからダウンロードいただけます。

本NRAでは、北海道における先住民族の権利に関する法令の順守(カテゴリー1)と北海道における先住民族や伝統的民族の権利を守ること(カテゴリー2)についてリスクが特定されています。
北海道から管理木材を調達する際には以下のリスク低減措置(推奨措置)を実施し、リスクの低減が確認できた後に調達をすることが求められます:

1. 施業対象地に対象となるアイヌ民族が存在するか確認をする。対象となるアイヌ民族が明確に特定できない場合は北海道アイヌ協会に照会するか、もしくは1 名以上の先住民族の専門家に意見を求めること(専門家としての資質の最低要求事項については管理木材規格の附則C を参照)。

2. 北海道アイヌ協会もしくは先住民族の専門家への確認を通じて、施業対象地においてアイヌ民族の権利に関する未解決の法的な争議や訴訟が存在するか確認をする。

3. 未解決の争議や訴訟が存在する場合は、森林管理活動の実施に先駆けて対象となるアイヌ民族からのFPIC が得られていること。未解決の争議や訴訟の有無に関わらずFPIC を得てもよい。

上記以外については、すべて低リスクであることが示されています。

本ナショナルリスクアセスメントの有効期限は5年間です。2023年更新に向けて、FSCジャパンでは引き続きナショナルリスクアセスメントに関する作業を行っております。

また、日本以外の国から管理木材を調達する場合は、状況によって使うべきリスクアセスメントが異なります。各国にナショナルリスクアセスメントが存在するかは、FSCドキュメントセンターでご確認ください。FSCにより承認されたNRA(旧NRA, CNRA, 新NRAを含む)がない国では、組織は自身で手順FSC-PRO-60-002 V3-0に基づく拡張リスクアセスメントを行わなくてはなりません。

FSCミックス製品と管理木材に関する戦略 日本語参考訳.pdf
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FSCミックス製品と管理木材に関する戦略

管理木材がFSC認証制度の拡大・普及に重要な役割を果たしていることは間違えありません。
一方でFSC認証制度のミックス製品、ひいては管理木材への依存度の高さも問題視されています。

2019年4月に公開された「FSCミックス製品と管理木材に関する戦略」では、FSC認証林を拡大し、非認証林におけるFSCの影響力を高め、長期的にFSCミックス製品と管理木材への依存を軽減するという最終目標が掲げられており、そのための8つの個別目標や行動方針が示されています。
こちらの戦略は管理木材の将来的の在り方についてFSCの立場を示した文書です。