欧州委員会が各国の初期ベンチマーク評価を公開
欧州委員会が各国の初期ベンチマーク評価を公開し、日本を含む、以下の国々は低リスクと分類されました。
低リスク国:
アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、アンドラ、アンティグア・バーブーダ、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベルギー、ブータン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルネイ・ダルサラーム、ブルガリア、ブルンジ、カボ・ヴェルデ、カナダ、中央アフリカ共和国、チリ、中国、コモロ、コンゴ、コスタリカ、クロアチア、キューバ、キプロス、チェコ、デンマーク、ジブチ、ドミニカ、 ドミニカ共和国、エジプト、エストニア、エスワティニ、フィジー、フィンランド、フランス、ガボン、ジョージア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グレナダ、ガイアナ、ハンガリー、アイスランド、インド、イラン(イスラム共和国)、イラク、アイルランド、イタリア、ジャマイカ、日本、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、キリバス、クウェート、キルギス、ラオス人民民主共和国、ラトビア、レバノン、レソト、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア, ルクセンブルク、マダガスカル、モルディブ、マリ、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、ミクロネシア連邦、モナコ、モンゴル、モンテネグロ、モロッコ、ナウル、ネパール、オランダ王国、ニュージーランド、北マケドニア、ノルウェー、オマーン、パラオ、パレスチナ、パプアニューギニア、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、大韓民国、モルドバ共和国、ルーマニア、ルワンダ、 セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、サモア、サンマリノ、サントメ・プリンシペ、サウジアラビア、セルビア、セイシェル、シンガポール、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ、南スーダン、スペイン、スリランカ、スリナム、スウェーデン、スイス、シリア・アラブ共和国、タジキスタン、タイ、東ティモール、トーゴ、トンガ、トリニダード・トバゴ、チュニジア、 トルコ、トルクメニスタン、ツバル、ウクライナ、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ合衆国、ウルグアイ、ウズベキスタン、バヌアツ、ベトナム、イエメン。
高リスクはベラルーシ、北朝鮮、ミャンマー、ロシアの4か国で、その他はすべて標準リスクとなります。
出典:
FSC国際事務局の見解
これに対し、FSC国際事務局は以下のような見解を発表しています。
ボン、2025年5月28日-
欧州委員会がこのほど、各国の初期ベンチマーク評価を公表したことで、欧州森林破壊防止規則(EUDR)の実施において重要なマイルストーンが達成されました。企業は今、デューデリジェンス・システムの構築から実践へと移行する準備を整える時期にあります。
ベンチマーク(各国リスク評価)の仕組みは技術的に、EUDRのリスクベースアプローチをサポートするように設計されています。リスク分類は、EU管轄当局が、原産国から対象商品を調達するオペレーター(事業者)に対して行うコンプライアンスチェックの程度を定義します(「低リスク」は1%、「標準リスク」は3%、「高リスク」は9%)。低リスク国からの調達では、簡易デューデリジェンスを行うことが可能となり、オペレーターやトレーダーは情報収集は必要なものの、リスクの評価や低減措置は必要ないことになります。
従って、このベンチマーキングにより、管轄当局は監視の目をリスクがより高いところに集中させることができ、企業はデューデリジェンス義務を理解し、果たすことができます。 国のリスク分類(低、標準、高のいずれか)は、デューディリジェンスをどのように調整すべきかの指針となりますが、決してオペレーターの責任を免除するものではありません。簡易デューデリジェンスでも、関連するサプライチェーンの複雑さと、原産地不明または標準/高リスク国からの製品との混合リスクを評価し、森林破壊がないことを確認することは依然として企業に求められています。
FSCは、デューディリジェンスが低リスク国を含む全ての分類の国に不可欠であることを強調します。EUDRの中核は、森林減少と森林劣化のリスクを評価し、低減する義務です。FSCは、EUDRを遵守するためのプロセスの実施には、サプライチェーンのリスクに対する積極的かつ十分な情報に基づいたアプローチが重要であることを認識しています。
このプロセスはEUDRを運用するために必要なステップです。国のリスク分類に関わらず、デューディリジェンスが必要であることを忘れてはなりません。ベンチマーキングはデューデリジェンスのプロセスの調整に役立ちますが、義務を取り除くものではありません。FSCはリスクの特定からトレーサビリティ、低減まで、あらゆる段階で企業を支援し、世界的な森林減少と劣化との闘いにおける合理的なコンプライアンスと着実な進展を確かなものとします。
-FSCのEU関係担当責任者、Matteo Mascolo
FSCは、国別分類を問わず複雑なサプライチェーンを持つ企業を支援するため、EUDR対応FSCアラインドを立ち上げました。これは、事業者が持続可能性へのコミットメントを強化しながら、コンプライアンスをナビゲートするのに役立つ自主的な追加ツールセットで、以下のものが含まれます。
- EUDR遵守の中核となるのは既存のFSC認証です。既存のFSC認証を通じて、企業はすでに持続可能な森林管理ついて最も厳正な社会的・環境的要求事項を満たし、適用されるすべての国内法を遵守しています。これは独立した第三者の認定認証機関により検証されています。
- FSCのEUDR対応モジュールを通じてEUDRへのコンプライアンスを支援します。このモジュールでは、複雑な法令の要求事項を明確で実用的な基準に変換し、サプライチェーンをEUDRのベストプラクティスに合致させます。
- FSCは、国レベルのリスク評価に投資し、完了したFSCリスク評価はFSCリスクハブを通じてデータを公表します。このリスクハブは、リスク評価情報に簡単にアクセスできるように設計されています。
- FSC Traceの開発によってサプライチェーンのトレーサビリティと透明性を向上させます。
次のステップ
ベンチマーキング・プロセスは動的なものであり、最初の見直しは2026年に予定されています。欧州委員会のEUDRプラットフォームのメンバーとして、FSCはこのプロセスに関与し続け、各国の責任ある調達を支援していきます。
EUDRが法制化から実施へと移行する中、FSCは欧州委員会、管轄当局、企業、NGO、その他の関係者と協力し、世界の森林が守られるよう、サプライチェーンを強固で公平かつ透明なものとするため、引き続き尽力します。