世界の森林破壊が問題視される中、日本は森林率世界2位の森林大国でありながら、木材自給率は36.6%となっており、日本で消費される木材の多くを海外からの輸入に頼っています。そのような中、木材自給率の向上を目指し、国産材の活用が推進されていますが、国内の森林でも違法伐採による逮捕者が出るなど、持続可能な森林の利用は国産材を使用する上でも重要な観点になりつつあります。森林の生物多様性や人権への配慮を確認する上で一つの目印となる森林認証ですが、海外からの輸入木材を原材料とした製品に比べ、国産木材を使用した製品では普及が遅れ、課題となっていました。ところが、ここ最近その状況に変化の兆しが現れています。国際的な森林認証制度FSC(Forest Stewardship Council®)の普及啓発を行うFSCジャパン(特定非営利活動法人 日本森林管理協議会、代表:太田猛彦)では、国産FSC認証木材を使用した製品が様々な業種において採用が拡がっていることに注目と期待をしており、その最新事例をご紹介します。

国産FSC®️認証木材を使用した製品の採用が全国で拡大中!

大手ホームセンターのカインズでは、11月3日にグランドオープンしたカインズ朝霞店で、中国地方の国産FSC認証ヒノキと杉を使用し、株式会社日新が製造した針葉樹合板の導入を開始しました。国産FSC認証材を使った針葉樹合板のホームセンターへの導入は日本初となり、今後は他の店舗でも展開される予定です。また、カインズでは国産FSC認証針葉樹合板の他に、輸入材を使用したFSC認証ラジアタパイン集成材も同時に取り扱いを開始し、店頭ではFSC認証製品を緑色の棚に陳列し、消費者が一目で見つけられるよう工夫しています。

ここ数年、FSC認証の紙製品や紙パッケージを使用した製品は増加しており、一般消費者が小売店でFSCラベルを目印に選んで購入できる状況になりつつありましたが、特に国産材を使用した木材製品では、消費者が簡単に入手できるFSC認証製品が限られていることが課題となっていました。今回の採用で消費者が国産FSC認証木材を簡単に入手できる状況になったことは、持続可能な消費活動やFSC認証を普及する上で大きな前進であり、ホームセンター業界の今後のさらなる展開が期待されます。カインズでは、木材製品の他、今後はPB製品の紙パッケージにもFSC認証紙を採用する予定です。

国産FSC認証木材を使用した製品の採用が全国で拡大中!

大手飲食店のデニーズでは、8月20日から山梨県甲府市内の店舗で、山梨県産FSC認証材を使用し、やまなし森の紙推進協議会が製造するFSC認証紙ストローの導入を開始しました。デニーズでは2018年より、ドリンクバーのプラスチック製ストローを撤去し、ご要望のあるお客様へは生分解性プラスチック使用のストロー(PLA ストロー)を提供していましたが、国産 FSC認証紙ストローの導入は日本初の事例となります。この国産FSC認証ストローにはカーボン・オフセットの仕組みで山梨県が創出したオフセット・クレジットが活用されており、PLAストローに代えて使用することで、脱プラスチック対策にとどまらず、森林保護、CO2削減など幅広い環境負荷低減にもつながります。さらに、この FSC認証紙ストローは、特定非営利活動法人マイプラ対策室を通じ、山梨県の障がい者就労支援事業窓口「ジョブクリエーター」で最終加工しており、FSC認証紙ストローを使用することで山梨県の障がい者就労支援にもつながっています。デニーズの他、ラグジュアリーブランドのシャネルの国内店舗でも山梨県産FSC認証紙ストローが導入されており、オフィスで使用するコピー用紙は全てやまなし森の紙推進協議会で製造する山梨県産FSC認証材を使用したコピー用紙が使用されています。また、神奈川県で和食チェーンを展開する株式会社きじまでも山梨県産FSC 認証紙ストローや株式会社シェア・ハピネスが製造する山梨県産杉箸が導入されおり、山梨県産FSC材の活用の場が多方面に広がっています。