日本の違法木材輸入は2004年から着実に減少しピーク時に比べ半減したと言われています。しかし、2008年の輸入木材の9%はなお違法と推定され、アメリカ、イギリス、フランス、オランダでの2~4%よりも依然高いと推定されています。(*1)

日本では2006年4月にグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)改定し、国等の機関において木材・木材製品を調達する際に、「合法性」または「持続可能性」が証明されたものを優先するという措置が取られました。その証明方法としては次のものが挙げられています。(*2)
1)森林認証制度及びCoC認証制度を活用するもの
2)森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行うもの
3)個別企業等の独自の取組みによるもの

一方海外では、アメリカ・レイシー法が2008年改定され違法に伐採・採取された植物種も規制の対象になるとともに、EU木材規制が2013年3月に発効されました。オーストラリアでも違法伐採禁止法の施行が本年予定されるなど、対策が強化されつつあります。EU木材規制では森林認証制度での認証を取得していればフリーパスということにはなりませんが、森林認証は、特に家具の分野では、アジアの違法伐採材、違法取引材に対する高いリスクを低減することに役立っているとの結果が出ています。(*3)

今年6月に非営利団体Environmental Investigation Agency (EIA、本部米国)はロシア東部の違法伐採の調査結果を発表しました。この調査では、違法木材が国境を越え中国へ入り、欧米や日本の市場向けに輸出される家具、フロア材ほか木材製品の製造業者へと渡る過程を追跡しています。

違法伐採はロシア東部における丸太総生産量の少なくとも50%占める(90%近くとするものも)とされていますが、それらが中国へと違法に入り、ベッド、戸棚、椅子、テーブル、構造材へと加工され、日本へも輸出されていると指摘しています(日本は中国からの第二の輸入国)。また、シベリアのアカマツは日本国産針葉樹と競合。違法材は木材価格を人為的に下げ、日本の森林所有者を価格競争上、不利な状況に追い込んでいるという指摘もあります。

さらに、「日本のグリーン購入法は成立当初は進歩的であったが、その後他の先進国が違法木材輸入に対する実効性のある措置を導入する中、日本は遅れをとっている」と指摘し、日本の木材製品需要の95%は法的拘束力のある規制対象外で、大部分は民間セクターでの取引であり、日本はより厳しい規制を敷くべきであると主張しています。(*4)

今年5月には、地球・人間環境フォーラム、国際環境NGO FoE Japanの2団体が「木材・木材製品の調達にあたっての合法性の確認に関するアンケート」の結果を発表しました。その結果、国等機関で「合法性確認を行っていない」と答えたのが26.7%、合法性を確認していると答えた国等機関の55.4%が確認方法を把握していない、ことが明らかになりました。

「このアンケートの結果から、現状のグリーン購入法に基づく合法性の確認の仕組みは表面的なものになっており、そもそもの狙いである違法性リスクの高い海外の違法伐採材を排除するために必要不可欠なサプライチェーンをさかのぼる形での確認を十分に行うことのできる制度とはなっていないといえる。」とされています。(*5)

オリンピックにおけるFSC認証で紹介しましたが、オリンピック・パラリンピックの舞台でも、合法かつ持続可能な木材資源の使用が国際的に引き継がれてきています。2020東京において、木材資源の利用においても世界に誇れる実績を是非残して欲しいものです。


*注
(1) CHATHAM HOUSE、Illegal Logging and Related Trade, July 2010
(2) http://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/ihoubatu/cyoutatu.html
(3) CHATHAM HOUSE, Certified Products and EUTR Compliance in the Furniture Sector, April 2014 / https://jp.fsc.org/newsroom.50.68.htm
(4) EIA US, The Open Door: Japan’s Continuing Failure to Prevent Imports of Illegal Russian Timber, June 2014)
(5) http://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2014/140507_pr_questionresult.html