FSCは責任ある林産物に関する信頼性の高い精度を保証しています。時にはFSC制度の誤用または非認証材の混入に関する申し立てを受けることがあり、このような主張を受けた際にはFSCとして非常に深刻にとらえ、調査プロセスを実施します。

FSCでは、認証取得者によるFSCサプライチェーンの信頼性リスクに対応するための長期的かつ体系的な計画があります。この計画の一環として私たちは制度の誤用に対して迅速に次の3つの行動をとっています:

  • 誤ったFSC表示に関するリスクが高いとされいる製品グループや怪しいと疑われる樹種について徹底的な調査を実施。
  • このようなサプライチェーンにおいて認証取得者の義務である「取引情報の照合」を実施し、FSC取引情報の正確性を確認することで、実際にリスクが高いのかを確認。
  • 無作為なFSC認証製品のファイバーテストによって、実際に製品に使用されている樹種や可能な場合は伐採地域や国を同定。

FSCは近年、FSC認証オクメ材の信頼性に関して複数の利害関係者から疑義を受けておりました。これらの利害関係者は、FSC認証オクメ材として販売されている原木の数量が、FSC認証製品として供給されているオクメ材の数量と整合していないと主張をしており、この申し立てを受けてASIでは既に取引情報照合の調査を実施し、収集されたデータを分析するほか、木材同定技術を用いた試験も実施しています。サプライチェーンに対する監査も実施されましたが、FSC取引における不正行為は確認されませんでした。

一方、FSCでは新たな申し立てとしてFSC認証オクメ材が、主張されている伐採地ではない場所で違法に伐採をされている可能性があるという報告を受けました。またFSC認証オクメ生産林が存在しない国から購入されたオクメ材がヨーロッパの国で再包装され、FSC認証製品として販売されているという報告も受けました。このような懸念を受け、FSCでは2020年により詳細なオクメ材のサプライチェーン調査を実施することを決定しました。

FSCは、ASIと協力してオクメ材のサプライチェーンを徹底的に調査しています。

現在実施ているオクメ材の取引情報の照合調査では、FSC認証オクメ材の購入・販売を行う認証取得者を含むオクメサプライチェーンに関わる全ての事業体を対象としており、またすべてのFSC製品タイプを対象としています。またFSCの公式な解釈を示したFSC-Interpretations-Chain of Custodyに含まれる、INT-STD-20-011_28では、認証機関とASIは、FSC認証製品の購入・販売だけでなく必要であれば非認証製品の取引についても調査対象とできることが明記されています。また取引情報の照合においては、取引情報の分析結果によってASIが再度より詳細な調査を実施することもあり得ます。

このような調査手法に加えて、FSCではFSC認証オクメ製品といわれている製品の、樹種を同定するための木材解剖学的手法や伐採地域を同定するための安定同位体を用いた分析も用います。申し立てられた疑義が真実であると確認された場合、関係した認証取得者は即時認証の一時停止または取り消し処分となり、ADVICE-40-004-18の虚偽表示に関する措置が適用されます。これらの調査、サプライチェーンマッピング、木材同定試験は2020年を通じて行われ、最終的な結果の報告は2021年初旬に行われる予定です。

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