いま世界中で森林が悲鳴をあげています。森林大国でありながら、森林資源の消費大国でもある日本に暮らす私たちにとって、森林問題は他人事ではありません。FSCジャパンとともに活動する若者の意見を通して、大切な森林を未来に繋ぐために何ができるかを考えてみませんか。次世代を担う若者たちだけに託すのではなく、いまこそ若者も大人も一丸となって行動を起こす時です。 適切に管理された森林を増やすためのFSC認証制度の普及を行っているNPO法人 FSCジャパンでは、昨年の9月に中学生・高校生を対象としてFSC認証の普及アイデアを募集した第1回FSCアワード2019を実施。本誌面では、そのアワードで見事に金賞を受賞し、初代のFSCジュニア・アンバサダーに任命され、FSCジャパンとともに普及活動を行っている都内の私立高校2年生・中澤さんへのインタビューを通して、未来の森林について皆さんと考えたいと思います。

私は、用賀にある三田国際学園高等学校という中高一貫校へ通っています。三田国際学園が授業で積極的に環境問題を取り上げていたので興味はあったのですが、アクションを起こす機会がありませんでした。 高校へ進級後、個人面談をした担任の先生に「環境問題について興味があり、高校進級という区切りをきっかけに、自分から色々なことに挑戦してみたい。」ということを伝えました。この自分の踏み出した一歩に対して、担任の先生が沢山の「機会」を与えてくださるようになりました。その後、自分からさまざまなイベントなどに出向くようになって、そこで出逢ったのが “FSC認証” です。FSC認証の勉強会に参加した時にFSC AWARD2019 が開催されることを知りました。最初は「とりあえず参加してみようかな」という軽い気持ちでしたが、他校の生徒との交流を通して、皆が真剣に考え、真面目に取組んでいることに強く影響を受けました。やがて、FSC認証を自分ごととして捉えるようになり、自分なりの考えや想いをアイデアとしてまとめ、同年代の仲間と大人の皆さんに向けてプレゼンテーションを行いました。アワードで金賞をいただき、FSCジュニア・アンバサダーに任命された時は驚きであまり実感がなく、まさか自分が、と思いました。しかし、日が経つにつれて、実感が沸いてきて、ジュニア・アンバサダーとしての自分の目的が明確になりました。その目的とは、私のジュニア・アンバサダーとしての活動を同年代の高校生や中学生たちに知ってもらうことです。そして、少しでも刺激を与えることができ、自分も何かやってみたいと思える人が一人でも増えたらと思います。森林問題はもはや他人事とは言えなくなりました。世界にはさまざまな問題が存在していますが、森林問題も非常に深刻です。だからこそ、ジュニア・アンバサダーとして、今しかできない、高校生のうちにしか発揮できない力を利用して日本、世界の同年代の人たちを巻き込んで、大人に訴えかけたいと思っています。

環境や社会問題については、中学1年生の時から、三田国際学園の教育が大きく影響して、興味を持たせてくれたと実感しています。例えば、国語の授業の論文では様々な社会問題を題材にしたり、英語の授業でも、英語で環境問題のエッセイを書いてみたり、さらに、総合学習の時間ではSDGsについて学びました。これが初めてSDGsの存在を知ったきっかけです。SDGsについては、相互通行型授業で、先生に教えられるだけでなく自分たちでもディスカッションをしていったので、それも大きく興味を持つようになったきっかけとも言えます。

今までは環境や社会問題は一部の人が関わるような、入りづらい世界だと思っていました。例えば、SDGsのイベントがあったとしても、自分はあまりにも無知でしたし、これまでもアクションを起こすことができていなかったので、不安で参加する勇気が湧いてきませんでした。でも、信頼する担任の先生が「こんなイベントあるので行ってみないか?」と声をかけてくださったおかげであまり深くは考えず、まずは飛び込んでみようというような気持ちになることができました。そこからはもう怖いもの知らずといったような感じです(笑)

若者の方が危機感を持っているようには感じます。これからの未来を生きていくのは、私たち若者であるという意識が高いからだと思います。先人たちの知恵によって、暮らしやすい明るい “今” が作られてきましたが、その一方で、たくさんの壁が立ちはだかるようになってしまいました。これからは、わたしたちが後世のために知恵を絞り出し、暮らしやすい “未来” を作っていかなければならないと思います。環境問題は深刻であり、私たちはこれからの大変な時代を背負うという認識が強いので危機感を持っていると思います。さらに、大人の皆さんは私たち若者に、未来を任せ期待しがちですが、今を生きる皆さんにも危機感を一緒に持ってもらい、一人でも多くの大人の皆さんが共に行動する必要を意識するようになってもらえたらと思います。

私の学校には有志団体というものがいくつか存在しており、その有志団体が学園祭や外部などで活躍しています。例えば、私の先輩の1人にジェンダーについての有志団体を立ち上げて活動している方がいます。その先輩は、私の生徒会での先輩でもあるのですが、当時生徒会で活動していた時によくジェンダー問題についての、学校の中で生まれる疑問や自分の考えを周囲にもらしていたのを覚えています。その先輩が今年になって、自分の思いを行動に移している姿を見て、とても影響を受けました。その先輩の積極性に感動を受け、自分でも身近なことから何か学校でアクションを起こすことができるかもしれないと思いました。さらに同級生では、病院に入院している重い病気の子供たちのためのボランティアや、自分と異なるジャンルで活動を行っているのには毎回影響されています。同年代でこれだけの活動をしている人がいるのかと思うと、今の自分にできることも無限大にあるように思えます。

特に地球温暖化を中心とした環境問題(生物多様性の破壊、プラスチックごみなど)とジェンダーや人種差別に関する問題に関心が高いと思います。生物の授業や、グローバル教育の授業でもよく扱われる問題で、私たちにとって身近に潜んでいる問題であると思います。

環境問題を解決していくためには若者に鍵が託されていると思います。10代の私たちの言葉が、大人の皆さんに改めて自分を見直してもらうきっかけとなり、行動することに対する原動力になったらいいなと思います。私たち若者は、環境問題についてのアクションを起こしていくことが私たちの未来につながっていることを意識し、他人事ではなく、自分事として捉えることが重要です。若い今だからこそできる行動力を無駄にしてはいけないと思います。SNSによって、環境問題について触れたり知る場面はますます増えていると思います。そこで知っただけで終わらせるのではなく、そこから自分と関連付けさせながら、次は自分がどのようなアクションを起こしていくのかまで考える必要があり、その姿を大人の皆さんに見てもらうことも重要だと思います。そして、教育の場では環境問題について考える機会を増やし、若者が一歩踏み出してみようと思えるような環境づくりやサポートを大人の皆さんにしていただけたら嬉しいです。私たち若者のやる気や行動力と、大人の経験や技量がうまく組み合わさることが環境問題の解決に繋がると思います。

若者から大人へ意識を広げていくにはSNSと教育が大きな役割を果たすと思います。若者は学校であった出来事や、SNSで見つけた面白いトピックなどをよく親に話したりします。私も日頃の出来事をよく両親に話します。SDGsに関することを教育とSNSで積極的に取り込むことで若者の関心も高め、親子間のコミュニケーションを活用して大人の皆さんの意識へも広がると思います。

オルタナを読まれている大人の皆さんへお願いがあります。私たち若者には、環境や社会の問題に対して危機感を持っている仲間がたくさんいますが、その想いを伝えたり行動に起こす場が分からなかったり、それ自体が正しいかを迷ってしまい一歩を踏み出せずにいることが多いと思います。大人の皆さんには、そういった仲間たちの背中を押していただけるサポートを是非お願いします。そして、より良い世の中の実現に向けて私たち若者と一緒になって行動してもらえたらと思います。また、若者の皆さんも、自分の思いに対する自信や、行動に出る勇気がなかったら、「とりあえず」という気持ちを大切にしてみましょう。とりあえずやってみたら返ってくる結果は何倍にもなるはずです!最後に、FSCジュニア・アンバサダーとして、皆さんにFSC認証について少しでも興味を持ってもらえるよう、そして、FSC認証マークがついた商品を選ぶという意識が日本人に定着するように大人の皆さんたちと一緒に頑張っていきたいと思います!