日本三大人工美林にも数えられる国内有数の天竜林業地を有する浜松市は、市内の6森林組合をはじめ、浜松市、静岡県、天竜林業研究会などで構成する「天竜林材業振興協議会」として2010年にFSC FM(森林管理)認証を取得しました。これは、森林組合や国・県・市が連携してFSC森林認証を取得した全国初のケースでした。その後も地域と連携した積極的な推進策から認証林は拡大し、当初18,400haだった森林は現在では49,538haまで広がり、認証1件当たりの認証林面積としては国内第2位、市町村別取得面積では、第1位を誇ります。地域の木材事業者、工務店等とも連携してサプライチェーンがつながっており、地域としても、FSC認証のサプライチェーンがつながっている地域のひとつでもあり、長年FSC認証の需要拡大、認知度向上の取組を牽引し、FSC認証普及に大きな役割を担ってきました。市内の公共建築には地元のFSC認証材が多く使われており、最も多くのプロジェクト認証(建物等、デザインがひとつひとつ異なるものに対する認証)を誇る地域でもあります。
今回の表敬訪問では、2007年から4期、16年を務めた鈴木康友前市長からの市長交代に伴い、FSCジャパン代表・太田猛彦、副代表・速水亨および事務局スタッフの三柴、古川が新市長の中野祐介市長にご挨拶に伺いました。会談では、浜松市におけるこれまでのFSC認証の取り組みとFSCジャパンとの協働、地域が直面している森林管理に関する課題や、また日本国内におけるFSCの認知度向上等について情報交換が行われ、FSC認証というツールを活用した地域の林業の推進と、今後のより一層の協働を要請しました。
午後には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村ビレッジプラザで使用された天竜材を再利用している大河ドラマ館や浜松いわた信用金庫を見学し、浜松市役所の職員の方々、浜松市内の林業及び木材関係者等のステークホルダーとの意見交換を行いました。ディスカッションでは、FSCの認知度が徐々に向上している今、現場で直面している課題、FSCの信頼性を維持しつつ、普及を促進するための方法、また学校現場でのFSCの普及活動などの情報共有が行われました。
FSCジャパンでは今後も、様々な地域と連携し、国内におけるFSC認証の普及と認知の向上に注力いたします。