ヨリアイホール画像

FSC認証では、通常、製品がFSC認証とされるには、使用されるすべての森林由来の部材がFSC認証規格を満たしていることが必要となります。しかし、建物など、製造工程が複雑で多くの業者が関わるプロジェクトでは、これを満たすのは簡単なことではありません。そこでプロジェクト認証では、使用されるすべての部材がFSC認証規格を満たさなくてはならない全体認証の他、特定部位のみにおけるFSC認証材の使用が謳える表示方法や、全体に対するFSC認証材の割合をパーセンテージ表示できる宣伝方法が認められています。

これまで国内で取得されたプロジェクト認証では、全体認証および特定部位におけるFSC認証材の使用(部分認証)に限られていましたが、このみやぎ登米農業協同組合
(代表理事組合長 佐野 和夫)の本店・東部なかだ基幹支店の新築の建物では、全体量に対するFSC含有割合を計算し、90.89%の使用率という高いパーセンテージのFSCプロジェクトを実現しました。パーセンテージ表示の計算には建物に使われたすべての森林由来の部材が入り、製材品、集成材、合板に限らず、建具、石膏ボードやメラミン化粧板と言ったものまで考慮しなければならないため、その管理は簡単ではありません。

地元の認証木材がふんだんに使われたこの
プロジェクの実現には、みやぎ登米農業協同組合(代表理事組合長 佐野 和夫)の、「農業と林業が支え合わなければ地域は生き残れない」との考えが反映されています。建物の木材は、市内の4森林組合等でつくる登米市森林管理協議会等が供給し、計708 m3、原材料の丸太ベースでは1300 m3もの木材が使われました。地元の森林認証材を活用して、自然の恩恵に還元できる木造の建物を建てることは、地産地消やSDGsの実践でもありました。

さらにこの建築では、林野庁のガイドラインに従い、木材に係る炭素貯蔵量を表示しています。使用した
木材 779 m3の炭素貯蔵量 (CO2 換算) は 552t CO2 となり、約 300 人が一年間で排出する二酸化炭素量に相当します。このような取り組みにより、昨年度には、建物の木造化を普及する先進例として、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」にも採択されました。

これを記念して令和5年6月7日には、来賓としてミス日本みどりの大使上村さや香様をお招きして、FSC プロジェクト認証取得の披露が行われ、関係者が認証の取得を祝いました。   


中央のヨリアイホールでは、美しく印象的な大黒柱のような束ね柱と八方向重ね肘木で広々とした空間が実現されており、農協組合員や市民が集える「寄合」の場として、今後地域活動の中心となっていくことが期待されています。また、このプロジェクトで認証管理や木材供給に中心的な役割を果たした登米市森林管理協議会は、東北の他のFM認証取得地域と連携した5TreesNetの調整役として、更なるFSC認証材の供給体制を整え、普及を図る取組を展開しています。
5TreesNetの詳細について:
https://www.jp.fsc.org/jp-ja/newsfeed/2023/0126