FSC国際理事は、第96回の理事会において今回の外部専門家パネルからの勧告を承諾しました。一方、今回の決定において対象となっている問題は、当初の調査対象範囲の一部でしかないことも認識されています。今回の決定の対象となっている労働者の権利侵害に加えて、元の苦情には、先住民族の権利侵害と高い保護価値(HCV)の破壊に関する情報も含まれていました。今回採用されたFSCの直接決定プロセスに基づき外部専門家パネルが調べることができた根拠資料に限りがあったため、その他の主要な問題については今回の決定において十分に考慮されていません。

FSCは2020年にForest People’s Programme(以降FPP)から提出された苦情に基づき、Haritaグループとその子会社であるPT. Kemakmuran Berkah Timber (以降PT. KBT) とPT. RMTKに関する組織とFSCとの関係に関する指針への違反について調査を開始しました。

2021年にFSCは、FPPとPT.RMTKの間の調停プロセスを開始しましたが、PT.RMTKは、2022年にASIが実施した抜き打ち監査で不適合が発見されたことを受けて2022年末にFSC認証を返上しました。このことによって、調停プロセスは継続できなくなりました。

FSCは本件について「直接決定(Direct decision)プロセス」を用いて対応することとし、外部専門家からなるパネルが結成されました。直接決定プロセスは、不正の申し立てに対応するための迅速な方法となり得ますが、一方で十分な証拠が必要となります。より詳細な調査を行うことで、当初FPPが提出していた苦情の内容をすべて調べることができたはずですが、PT.RMTKの認証返上によってその道は途絶えてしまいました。従って、外部専門家パネルはASIによるPT.RMTKの評価報告書を基に勧告をすることとし、FPPによる苦情の内容すべてや、Haritaグループの他の企業に関する調査はできないと結論付けました。

ASIの評価報告書の内容を基に、外部専門家パネルはFSC国際理事会に対してHaritaグループとの関係断絶を勧告しました。

今後HaritaグループがFSCと再度関係を構築したいと望む場合は、FSC補償の枠組みをグループ全域に渡り適用する必要があります。

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