CoC規格(FSC-STD-40-004)の改定に向けてFSC国際事務局が提案をしている議題は以下の通りです。これらについて、またはここに含まれていない検討議題について是非この機会にご意見をお寄せください。コンサルテーションはこちらからご参加いただけます(英語です)。
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年間数量集計の簡素化
現在のCoC認証要求事項では、審査・監査の際に紙ベースの根拠資料を基に年間数量集計を提出する必要があります。FSCは、よりユーザーフレンドリーな報告方法の検討および、特定条件下でのより柔軟なデータ提供方法、年間数量集計が不要なケースなどを検討していきます。
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回収原材料100%から作られた製品へのFSCミックス表示(ラベル)使用
現在、ADVICE-40-004-17にて暫定的に認められている運用について
規格5.9項のFSC表示の格下げルールでは、CoC規格第3-1版から回収原材料100%で作られた製品にはFSCリサイクル表示のみが使用可能であると定められています。一方、第3-0版まではリサイクル表示のミックス表示への格下げが認められてきたことから、このルール変更が大きな影響を与えた認証取得者も多く、結果FSCはADVICE-40-004-17によって、暫定的にリサイクル表示のミックス表示への格下げを引き続き認めました。今回、改めて本件について最終判断をすべく検討がされます。
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トランスファーシステム下で可能なFSCインプット表示とアウトプット表示の組み合わせの見直し
CoC規格の「表D. トランスファーシステム下で可能なFSC インプット表示とアウトプット表示の組み合わせ」では現在、以下の製品について、FSC表示をすることができません。
i. FSC管理木材とFSCリサイクル原材料や回収原材料を混ぜた製品
ii. プレコンシューマー回収木材のみを扱う場合
今回FSCは、FSC CoC認証取得企業への販売を条件として、上記についてもFSC表示が可能となるようなルール変更を検討しています。
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外部委託と委託先についての明確化
FSCの中核的労働要求事項の対象となることを明記
外部委託先についても、FSCの中核的労働要求事項に基づく評価を行う必要があることを明記することを検討しています。
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一般要求事項の拡大
FSCの中核的労働要求事項の強化について
FSCでは、FSCの中核的労働要求事項を強化し、例えば生活賃金に関するガイドライン、苦情処理手順の強化、職業安全衛生に関する要求事項の強化などを行うことを検討しています。
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外部委託先として活動する関係断絶組織
ADVICE-40-004-16について
CoC規格13.4 e)項では、外部委託先との外部委託契約において、「委託先がFSC との関係断絶組織一覧に含まれた際に、10 営業日以内に
組織に通知する」という項目がありますが、現実的にこれが難しい、既存の外部委託契約の交わしなおしの手間などから多くの反対にあいました。結果ADVICE-40-004-16によって、こちらの要求事項はペンディングとなっていました。この度FSCでは、本件について最終判断をする予定です。 -
複合製品、様々な部材と中立原材料を含む製品についてのガイダンスの拡大
「附則C. 製品中のどの部材が認証されている必要があるかについての例」に例を追加
複合製品(例:織物、タイヤ、化粧品)などの成長に伴い、FSC 認証原材料と区別することができない中立原材料を含む製品も増えてきています。「附則C. 製品中のどの部材が認証されている必要があるかについての例」に例えば以下のような例を加えることを検討しています:
- ビスコースと木のボタンからできている織物
- ラテックスやゴムからできている非木材林産物
- FSC認証部材が見えない製品
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高リスクサプライチェーンの信頼性問題への対策
アドバイスノートとして対応を規定するのではなく、規格自体に例えば、桐サプライチェーン、木炭サプライチェーン、虚偽表示などについて含めることを検討しています。
また、非認証取得企業が、別々のFSC CoC認証企業から別々に調達した部材を合わせてアッセンブリーするような場合についてもルールを定めたいと考えています。
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FSC認証製品における中立原材料の扱いについて
ADVICE-40-004-15ではFSC 認証原材料と区別することができない中立原材料を含む FSC 認証製品には、FSC ミックスラベル及び、FSC ミック ス表示のみが使用できる、と規定されています。
FSCには、例えばTシャツに1%だけFSC認証ビスコースが使用されている場合でもFSCミックスラベルがつけられることなどについて、否定的な意見が寄せられています。中立原材料に含まれるべき認証原材料の最低割合を決めることは、すでに世の中に出回っている認証製品に関して混乱を招くため、FSCでは製品中のFSC認証材部分の明記や割合の表示を請求書上およびFSCラベルに付随する追加説明文章にてい行うというルールを検討しています。
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木材合法性要求事項の更新
欧州委員会が、EUによる森林破壊と森林劣化の防止に関する規制案を採択したことから、今後EUでは木材産地に関して衛星画像などを用いた森林面積変動のモニタリングなどが求められるようになります。2021年のFSCバーチャル総会の可決動議に基づき、FSC FM認証取得者は認証地域のデジタル地理情報を提供することが求められます。これによってCoC認証取得者は認証材の産地情報を容易に得ることができます。またイギリスが2021年にEUを離脱したことによって、EU木材規則の制限を受けなくなり、FSCとしてEU木材規則とイギリスの木材規則の差分分析を行う必要もあります。
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FSC IT技術(データベース、オンライン報告、ブロックチェーン)の反映
FSCは、CoC認証下の検証プロセスや信頼性の向上のために最新技術の模索を続けています。これらの技術をCoC審査に反映するためには規格への反映が必須です。FSCでは現在ブロックチェーン技術を用いた取引情報の検証プロセスのテストを行っています。ブロックチェーンやオンライン報告手続きによって、FSC制度の信頼性を高めることができると考えています。
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CoC制度における樹種情報の扱いについて
ADVICE-40-004_19について
FSCは、ADVICE-40-004_19によって例え紙製品であっても使用されている樹種に関する情報の入手を求めました。しかし、FSC制度内における樹種情報の扱いの一貫性のなさや、樹種情報の収集の難しさなどから非常に多くの反対にあい、2020年12月に本アドバイスノートは取り下げられました。同時に樹種に関するタスクフォースが結成され、タスクフォースからFSCに以下の勧告がされました:
- 樹種情報を収集する目的と価値の明確化
- 樹種情報の記録と保管に関する要求事項の強化
- 樹種情報の検証システムの向上
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通販/eコマースにおけるFSC表示を伴うFSC認証製品の販売について
FSCは持続可能な購買の流行に応えるために、オンラインでの販売を念頭に規格を改訂する必要があると考えています。例えば、倉庫の扱いや、オンライン販売システムがFSC表示の伝達に対応していない場合のルールが必要だと考えています。
FSC認証製品を通販/eコマースで販売していても、顧客に関する情報へのアクセスがない場合について解釈を提供しているINT-STD-40-004_52を規格に反映する必要もあると考えています。
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調達表示のパイロットテスト結果の反映
FSCは2年間に及ぶ調達表示の可能性調査を行いました。これは、FSC認証原材料、半製品、やFSCラベルのつけられていない製品の調達と自社での使用についての表示です。
本調査のデータは規格改定に反映するために検討されます(例:エネルギー、薫香)
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サイト横断クレジット/パーセンテージシステムのパイロットテスト結果の反映
FSCは、サイト横断クレジット共有について、アメリカとカナダ、そして欧州経済領域の企業の協力のもと2年間のパイロットテストを行いました。
本調査のデータは規格改定に反映するために検討されます。
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サーキュラーエコノミーの考え方をCoC規格に反映
ヨーロッパを中心に政府や企業の間で非常に強いサーキュラーエコノミーへの転換が図られています。2020年に採択されたEUサーキュラーエコノミーアクションプランでもサーキュラーエコノミーへの転換が求められています。
FSCは、FSCリサイクルラベル、代替原材料、自然生態系の更新などを通じてサーキュラーエコノミーへの転換に積極的な役割を持つことができます。サーキュラーエコノミーの考えは、日々変化しつつ、産業と方針作成者に取り入れられています。この考え方を反映しないことは、FSCにとって大きなリスクとなり得ます。積極的にFSC制度を順応させることで、サーキュラーエコノミーを目指す企業がFSC認証製品を求めるという大きな動きを作り出す機会となります。
現在の検討事項には以下のようなものがあります:
- FSCリサイクル、プレコンシューマー、ポストコンシューマー、リユース材の活用の最大化
- FSC端材、副産物が廃棄物となることを防ぐための柔軟性の向上
- 一次加工および二次加工工程における木材製品及び副産物が販売できるようにする。
- バージン木質原材料の調達のニーズを軽減するために、代替原材料のインプット(例:繊維供給のための農業残渣)の取り入れ。
FSC-STD-40-007規格の改定も、本規格の改定と同時に行い、サーキュラーエコノミーの考え方を反映したいと考えています。
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複数サイトおよび回収原材料調達の規格の統合
FSC-STD-40-004と、FSC-STD-40-003、そしてFSC-STD-40-007の統合
FSCグローバル戦略1.2を受け、FSC国際理事は第90回の理事会においてFSC国際事務局に対して、FSC-STD-40-004(CoC規格)と、FSC-STD-40-003(複数サイトの規格)、そしてFSC-STD-40-007(回収原材料調達規格)を統合することの課題やメリットの調査を行うことを指示しました。FSC国際事務局においてこの評価を実施します。
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FSC-STD-30-010「森林管理体のための管理木材規格」の改定を反映
2019年に公開されたFSCミックス製品と管理木材に関する戦略では、CW-FM規格を国際標準指標にあわせて改定をすることが求められました。ワーキンググループによって慎重に検討されている、この改定の結果は、FSC-STD-40-004とFSC-STD-40-005の改定の際にも考慮が必要だと考えています。
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「従来」の規準文書からの移行
従来の規格よりも、見やすく、図や事例紹介、例示、説明のためのボックスなどを増やしたユーザーフレンドリーな文書としたいと考えています。
またCoC要求事項のモジュラーアプローチ(必要なモジュールを組み合わせていく方法)を検討しています。
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アドバイスノートと解釈の反映
以下のアドバイスノートと解釈を規格自体に反映する予定です:
- ADVICE-40-004-02
- ADVICE-40-004-07
- ADVICE-40-004-15
- ADVICE-40-004-16
- ADVICE-40-004-17
- ADVICE-20-011_11
- ADVICE-20-011_12
- INT-STD-40-004_52
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