西原からのメッセージ

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大学院生として1989年からアフリカ熱帯林でゴリラ・チンパンジーの人類学/生態学的研究に携わったのを皮切りに、30年間アフリカの現場にて野生生物の調査研究や、WCS(野生生物保全を目指す国際NGO;本部ニューヨーク)スタッフとして国立公園の管理・熱帯林生態系の保全の実務などに関わってきました。加速化する森林消失と生物多様性喪失を目の当たりにしてきただけでなく、資源開発のために森林に依拠してきた先住民族のライフスタイルや伝統知の喪失および人権/土地侵害が生じていることにも直面してきました。

コンゴ共和国の国立公園に隣接する多国籍林業事業者にFSC認証事業者があります。世界で初となる現地政府・FSC認証林業事業者・国際NGOWCS)との間で立ち上げた連携事業においてWCSスタッフとして野生生物保全などのアドバイザーを、またFSC認証監査では毎年コメンテーターを務めてきました。実際に現地ではFSC認証事業者による生物多様性保全と先住民族配慮には他の林業事業者の追随を許さない優れた成果を目にしてきました。

Nishihara

自然生態系や生物多様性保全、気候変動緩和対策、パンデミック抑制、野生動物と人との衝突回避、いまだ差別を受けている先住民族への実効的な社会的配慮などが喫緊の課題である現在、第一義的にこれ以上新たに森林環境を破壊しないことは言うまでもありません。仮に最小限の資源開発を継続するにしても、FSC認証下での林業事業の普及は必要不可欠と考えます。​​​​​

もし紙製品であれば、国産/外材FSC認証紙、他の認証紙、再生紙などを比較、また木材であれば、FSC認証国産材/外材、FSC以外の認証国産材/外材などを比較、その中でのFSC認証紙・木材の特徴と重要性知らせるのが第一歩しょう。その際、FSC認証に基づいた林業、他の森林認証に基づいた林業、自伐林業など様々な形態の林業事業のあり方をわかりやすい形で説明を実施することでFSC認証との差異のさらなる明確化は大きな課題です。

とりわけ資源のない日本でこうした国際認証制度への認知・理解力が低い現状、日本国内での事業者及び一般消費者へのそのさらなる普及へ向けて、スタッフとともに邁進できればと考える次第です。

4月から新体制となるFSCジャパンですが、これまで以上に日本におけるFSCのビジョンとミッションの達成のために邁進してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。