第14回目となる今回は、環境省自然環境局自然環境計画課の小林誠氏から、国際的な自然保護の動きから、それに対応する制度としての「自然共生サイト」認定制度とその今後の方向性についてご説明いただき、更に自然共生サイトの事例として、FSC FM認証者でもあるアサヒグループジャパン株式会社と九州電力株式会社から自社有林での取り組みをご紹介いただきました。
人間活動により世界中で生物多様性が減少し、基盤となる生態系が脅かされ続ける中、この流れを反転させ、「ネイチャー・ポジティブ」を実現させるための構想として、昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2030年までに陸と海の30%以上を保全するという30by30目標が定められました。一方、日本の保護地域は約20%。行政による公的な保護地域以外も保全ネットワークに組み込むことで30by30目標を達成しようと設定されたのが、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM; Other Effective area-based Conservation Measures)であり、日本では民間から生物多様性の保全が図られている地域を募集し、該当する地域を「自然共生サイト」として認定する仕組みが2023年より始まっています。
本セミナーではそうした国際的な生物多様性保全の流れと、自然共生サイトの登録制度とこれまでの登録状況などが紹介されました。更に、新しく制定された生物多様性増進活動促進法の下、今後は保全地域の認定ではなく、生物多様性増進活動実施計画に対する認定という形に移行することも説明されました。TNFDなどの国際的な流れを受け、企業を中心に民間における生物多様性保全への関心が高まる中、そうした活動を支援し、加速化するための様々な施策が打ち出されています。
続く事例紹介では、FSC FM認証も取得しているアサヒグループジャパン株式会社と九州電力株式会社から、自然共生サイトへの登録に至る社有林における生物多様性保全の取り組みが紹介されました。FSC認証には生物多様性の保全も要求されることから自然共生サイトとの親和性も高く、FSC認証の維持も含むこれまでの森を活かす取り組みの積み重ねが、結果として自然共生サイトの認定にも寄与したことが説明されました。
本勉強会には154名の方にご参加いただき、大変盛況のうちに終了いたしました。
本セミナーの録画は以下からご覧いただけます。