FSCの管理木材枠組み文書の更新

FSC-PRO-60-002aのカテゴリー2の2.1項には以下の要求事項が明確に含まれています:

2.1「森林分野が暴力的な武力紛争と関係していない。これには国または地域の安全を脅かすもの、および/または軍による支配につながるものも含まれる。」

FSCは、ロシアとベラルーシでは林業界と政府の間に強い関係性があり、これらの地域からの原材料調達を完全に避ける以外にリスクを回避措置がないと判断しました。これらの地域からの材の調達停止を、FSC制度においてしっかりと実施するためにはFSC国際事務局に対してこれらの国のリスクアセスメントとリスク回避・低減措置の修正を要請することに加えて、それらを迅速に行うことが求められました。その結果、以下の管理木材枠組み文書への変更が行われました:

1.FSC-ADV-60-002-01「緊急事態におけるFSC国際事務局による管理木材リスク判定の規定」:FSC国際事務局がナショナルリスクアセスメント(NRA)とセントラライズド・ナショナルリスクアセスメント(CNRA)の修正、そしてCNRAにおける義務的なリスク回避・提言措置の導入を可能とするためのアドバイスノートの発行。

2.PSU-PRO-10-002 V2-0「FSCセントラライズド・ナショナルリスクアセスメントの策定と承認」:CNRAにおいても義務的なリスク回避・提言措置を導入できるよう、V1から改定。

上記の文書の変更を受けて、以下の文書も改定されました:

FSC-NRA-RU V3-0「ロシア連邦に関するFSCナショナルリスクアセスメント」:ロシアのNRAの改定。

FSC-CNRA-BY V2-0「ベラルーシに関するFSCセントラライズド・ナショナルリスクアセスメント」:ベラルーシのCNRAの改定。指標2.2に関しても追加でILO違反のリスクに基づきリスク判定が見直されました。これは、そのような違反の証拠事例に加えて、このような事例を安全に評価することができないことを受けてASIが自身のサービス提供範囲からベラルーシを除外したことに基づきます。

4.FSC-ADV-40-005-25「緊急を要する改定が行われたFSCリスクアセスメントのデューディリジェンスシステムへの反映」:対象となるリスクの緊急性に対応するため、上記の改定されたFSCリスクアセスメントが合理的な短期間(通常の6か月ではなく30日)で使用されるためのアドバイスノートの発行。同時に義務的なリスク回避・低減措置の条項がCNRAにもあることの明確化も行いました。

5.認証要求事項や認定要求事項においてリスク回避・低減措置に関してNRAへの言及がされている場合は、CNRAも含むことを明確にするため、FSC-STD-20-011に関する正式解釈を発効。

上記の変更は、30日以内(2022年4月8日まで)に、組織がロシアとベラルーシから管理木材の調達を停止しなければいけないことを意味します。

私たちは、この期限が今回の事態の緊急性に対応し、現地の供給者が十分な管理木材を確保するために森林が過剰に伐採されるようなリスクを減らすために十分短く、一方で調達企業が自身のデューディリジェンスシステムを修正するために十分な時間を与えられると信じています。

FSC制度へのリスクの対応

最後に、私たちは制度横断的なリスクに対応するための一般アドバイスノートを一つ導入しました。

6.FSC-ADV-20-001-12「大規模に林業界に影響を与える管理不可能または審査不可能なリスクがもたらす結果」:認証機関に対して、管理木材リスクアセスメントまたはその他の方法で特定された、個々の組織の管理できる範囲を超えた異常なリスクが発生した場合に、認証を一時停止または取消すことを求めたアドバイスノート。このアドバイスノートでは、更に最も高いリスクに晒される認証種類であることから認証が一時停止または取消されなければいけないものについても規定をしています。

このアドバイスノートの発行によって、ロシアとベラルーシでは30日以内(2022年4月8日まで)に、純粋なFM認証(認証製品の取引を行わない認証)を除くすべての認証が当面の間、一時停止されます。

一方、ベラルーシの場合は、ASIとFSCが共に、ILO(国際労働機関)の中核的労働基準に基づく特定のFSCの社会面の要求事項の順守と評価に関する抑制不能なリスクを確認しています。従ってASIではベラルーシにおける監督活動の停止を決定しました。これによってロシアとベラルーシに関するFSCの総合的な決定に基づくFSC認証の一時停止では収まらず、ベラルーシのFSC認証は認証機関によって取消される必要があります。

今後もロシアの認証一時停止中の認証に関して認定管理料(AAF)の徴収を行わない、というような変更がされる見込みです。変更があった際には利害関係者への連絡をします。以下にロシアとベラルーシの現状に関してよくある質問とその回答を用意していますので、一読ください。本件に関するお問い合わせはPerformance and Standards Unit(psu.cis@fsc.org)までお願いします。

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ロシアとベラルーシ の現状についてよく ある質問第3版
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ロシアとベラルーシ の現状についてよく ある質問第3版

2022年4月8日以前にロシアから購入したFSC認証材や管理木材の扱いについてなど、よくある質問とその回答が示されています。