FSC総会は通常3年に1度行われていますが、コロナ禍により、もともと予定されていた2020年の総会は延期され、代わりに2021年のオンラインによる総会と今回のハイブリッドの総会が行われることになりました。物理的に会員が集まる総会としては2017年から5年ぶりになります。コロナ禍からまだ世界が完全に回復していない中、総会には世界中から会員のみならず、多くのステークホルダーが集まり様々な議論が繰り広げられています。
FSCは世界中の様々な立場のステークホルダーの声を集め合意形成を図る、マルチステークホルダープロセスにより運営されていますが、総会ではこの、国家の枠組みを超えた世界規模での民主主義の実践を実際に目の当たりにすることができます。
今回の総会はハイブリッドで、会場と世界各地の会員がオンラインで繋がれ、オンライン参加の会員も発言や投票ができるようになっています。従来は会場の会員に赤、黄、青のカードが配られ、それを上に上げることで投票が行われてきましたが、前回、2021年のオンライン総会からは投票方法が変更され、オンラインでの投票となりました。投票に会場では5分の時間が設けられ、実際のオンライン投票は通常30分後に、定足数に達しない場合は16時間後に締め切られます。投票結果はFSC定款によって定められる環境、経済、社会分会の3つの分会、個人/組織、北(先進国)/南(発展途上国)による重みづけも含めシステムにより集計され、結果は翌日発表されます。電子投票となったことで、結果が数字として明確に示されるようになりました。
今回の総会でも従来と同じく、会員には赤、黄、青のカードが配られましたが、これは実際の投票ではなく、議論を続ける必要があるのか、会場の会員の全体的な意向を司会者が把握するために使われました。議論の時間が限られる中、圧倒的多数の支持を集める動議にあまり議論の時間を費やさず、効率的に会議の運営を行うためです。
動議の発議には複数の分会に属する複数の賛同者が必要であり、定められたプロセスにより事前に提出され受理されたもののみが有効とされます。審議の順番については、あらかじめ会員による優先順位の投票が行われており、各分会で優先順位の高いものから順番に議論していきます。3つの分会でそれぞれ優先順位1位の動議をまず審議し、次に各分会で優先順位2位の動議に移るといった具合です。発言は2分以内に限られるなど審議の手順も細かいルールが設けられています。
今回は初めて専用のサイトによる電子投票が採用され、初日には技術的トラブルからの混乱もありましたが、2日目からは無事、動議の審議や投票が行われています。文章の変更による動議の順番変更などもある中、多くの動議が議論され、投票されています。最新の動議の結果はこちらのページ(英語)からご覧いただけます。
さらに総会は、FSC会員による意思決定の場であると同時に、情報交換やステークホルダーの交流の場でもあります。多くのサイドイベントが開かれ、FSCスタッフ、会員や幅広いステークホルダーによる発表やオープン・ディスカッションが行われています。小規模林家にFSC認証を普及させるための取組み、生態系サービスの主流化やジェンダーや多様性についての世界各国での事例紹介、FSCの透明性や信頼性を向上させる取り組みなど、様々なトピックでの発表が行われ、参加者の活発な意見・情報交換が行われています。