この度承認、公開された改定規格(こちらからダウンロードできます)では、FSCミックス製品に使用することが認められない、「許容できない供給源」からの原材料を避けるために、FSC CoC認証取得者が実施する必要のあるデューデリジェンスシステム(義務的注意)に関する要求事項が示されています。
改定規格の日本語参考訳は現在FSCジャパンで準備中です。作成でき次第、公開、お知らせいたします。
なぜ、そしてどのように規格が改定されたのか?
2011年FSC総会の動議番号51番(管理木材制度の強化)の可決により、この規格の改定が始まりました。
規格の改定は、FSC基準文書の策定と改定手順(FSC-PRO-01-001)に則って行われました。社会、環境、経済バランスの取れた技術委員会が結成され、改定が進められました。規格草案のパブリックコンサルテーションは2回実施され、フィールドテストも2014年にオーストラリアとルーマニア、2015年にカナダとロシアで実施されました。
改定規格の主な変更点は?
改定規格では、管理木材調達においてデューデリジェンスというアプローチを採用しています。認証取得社は管理木材の調達にあたり、デューデリジェンスシステムを実施して、その木材が管理されていることを示す必要があります。デューデリジェンスシステムの実施とは、まず供給源の情報収集、そしてリスクアセスメントの実施(FSCのリスクアセスメント手順に従う)、最後に許容できない供給源からの原材料を調達するリスクを低減する措置(これは原産地のリスクおよび流通・加工中の混在リスクの両方に関わる)です。
その他の重要な変更点は:
- 公開報告書を通じた透明性に関する要求事項を強化した。
- 利害関係者からの意見と苦情の扱いに関する要求事項をより詳細にした。
- 原材料の原産地情報に関する要求事項を簡素化かつ明確化した。
- FSCリスクアセスメント(FSCにより実施されたリスクアセスメント)の使用に関する新たな要求事項を策定した。それに付随して、FSCリスクアセスメントの存在しない場合における認証取得者自身で実施するリスクアセスメントに関する新たな要求事項も策定した。
- 許容できない供給源からの原材料調達のリスクが特定されている場合に、より柔軟な方法で認証取得者がリスクを低減できるような、リスク低減に関する新たな要求事項を策定した。
- 先住民族と伝統的民族の権利、および原生林景観への脅威に関するリスク低減のための特定の要求事項を策定した。
- 従来規格に対するアドバイスノートのうち関係するものは改定規格本文に統合された。その他のアドバイスノートは最終的にはFSC基準文書の枠組みから除外される。
次のステップ
今後FSCはFSC管理木材制度とデューデリジェンスについて利害関係者がより理解できるよう、様々なサポートをしていく予定です。具体的には2016年になってからお知らせいたしますが、ファクトシートの作成やオンラインセミナーの実施を予定しています。
関連するプロセスの最新情報
今回の規格改定は、次の関連文書やプロセスにも影響します:
- FSCナショナルリスクアセスメントの枠組み(FSC-PRO-60-002a)は、今回改定された規格(FSC-STD-40-005 V3-0)との整合をとるよう、内容が多少変更されます。同時に、現在までに実施されているFSCリスクアセスメントの経験を反映して、文書の明確化を図ります。
- FSC本部事務局と戦略計画委員会が協力して、FSC管理木材戦略をまとめます。この戦略は今後のFSCの管理木材制度の進む方向を示すものとして作成されます。
- 森林管理者のための管理木材規格(FSC-STD-30-010 FSC)の大幅な改定作業は現在止められており、管理木材戦略の策定後に再開されます。その代わりに、この規格と認定規格の軽微な改訂が暫定措置として行なわれます。
上述の通り、改定規格の日本語参考訳は現在FSCジャパンで準備中です。作成でき次第、公開、お知らせいたします。
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