管理木材は不適切な原材料を排除しながらFSCミックス製品に使用されるものとして2004年に導入されましたが、それからは常にFSC制度の中で最も議論の的となる制度のひとつでした。管理木材制度がその目的を果たすだけの効果をあげていないと指摘するNGOがある中、一方で認証取得者からは管理木材制度の面倒な手続に不満があがり続けていました。
2011年のFSC総会で可決された動議を受けて、FSCでは社会・経済・環境会員のバランスをとったワーキンググループを結成し、管理木材制度の大幅な改定を行ってきました。
2014年9月8日のFSC総会のサイドイベントで、FSCは管理木材制度改定の現状を共有しました。原文のニュースはこちらです。
7つの規準文書(指針・規格)が改定されており、これらに対しては最近2度目のコンサルテーションが行なわれました。FSCでは現在寄せられたコメントを確認しているところです。主な規格は2015年3月の理事会にて承認される見通しです。
主な変更:FSCがナショナルリスクアセスメントの主導権を握る
管理木材のリスク評価は、認証取得者ではなくFSCがナショナルリスクアセスメントという形で行なうことになりました。これは各国のナショナルオフィスにとって非常に大きなタスクとなります。結果はGlobal Forest Registryに集約されます。
ナショナルリスクアセスメント作成のための手順書は今年11月の理事会で承認される見込みです。同時にFSCでは従来のルールから新しいルールへ移行するための方法を検討しいています。ナショナルリスクアセスメントの存在しない国から管理木材を調達している場合、2017年末までは認証取得者自身による暫定リスクアセスメントを実施するという選択肢があります。
その他の重要な変更
規格そのものがデューデリジェンスを基にしたモデルとなっています。これは欧州木材規制のアプローチと類似しています。これにより効果的かつ柔軟にリスクの低減ができるようになります。
その他の主な変更は、管理木材の仲介・流通のみをしている会社は認証取得の必要がなくなります。このことは現在改定されているFSC CoC規格に反映されます。
解決していない議論
サイドイベントでの議論は移行期間に集中しました。経済会員は、新しい管理木材制度がまだ作られている途中であり完成していないため、新しい要求事項への移行期間について懸念を表明しました。また移行期間のルールが複雑すぎるという指摘もありました。環境、社会会員の代表からは移行期間について過去に何度も妥協してきたという話もありました。これらの議論の後に行なわれた非公式な投票では社会・環境・経済すべての会員の大多数が移行期間の延長を希望していることが分かりました。
その他に解決していない議論が2つあります。1つ目は伝統的な権利の侵害のリスクがある場合の、事前に十分な情報を与えられた上での自由意思に基づく合意に関する要求事項です。2つ目は手つかずの原生林から管理木材を調達することに関するものです。
