Centralized National Risk Assessment(CNRA)の導入 

背景
2011年のFSC総会で承認された動議番号51番に従い、管理木材評価制度の改訂の一環として国ごとの公式なリスク評価(ナショナルリスクアセスメント, NRA)を行うことが決定しました。現在認証取得者が自身で行っているFSC-STD-40-005 V2-1 Annex2に基づくリスク評価は、2014年末日にNRA結果に置き換わる予定です。 

一方、現在改訂が進んでいるFSC-STD-40-005では、NRAの存在が必須であるにもかかわらず、現時点でNRAの作成が見込めない国が多く存在していることから、2013年11月のFSC理事会の決定により、CNRAが作成されることになりました。2014年末時点でNRAの存在しない国についてはCNRAが参照されることとなる予定です。

NRA作成状況
各国のNRAの作成状況は次のページの地図をご覧ください。濃い緑がすでに承認されている国、薄い緑が現在作成中の国です。日本については2014年4月24日時点で最終ドラフトを本部に提出し、承認を待っている状態です。 https://ic.fsc.org/national-risk-assessments.310.htm

CNRA作成過程
CNRAの作成はFSC本部のPolicy and standard Unit (PSU)とNetwork Unit (NU)が協力して作成されます。 各国のリスク評価にあたっては、各国の専門家に委託される予定です。

現在予定されているスケジュールは以下の通りです: 

  • PSUとNUによりCNRAを優先的に作成する国を決定(2014年2月~3月) 
  • NRAフレームワークの草案第2版が完成(2014年3月)-現在遅延中
  • CNRAのリスク評価実施(時期未定) 
  • ナショナルオフィスによるリスクの確認(2014年中旬) 
  • PSUによるリスクの承認(時期未定) ・CNRA地図作成(時期未定) 
  • CNRA地図のパブコメ開始(2014年9月~10月) 

CNRAについての詳細情報は、次のページをご覧ください。(ただし情報の更新が遅いため、掲載されている内容が変更されている可能性があります) 
https://ic.fsc.org/centralized-national-risk-assessment-for-controlled-wood.700.htm


CNRAについて本部担当者に確認をした情報

CNRA作成の優先国
2011年のFSC-STD-40-005 V2-1 Annex2実施対象の数が多い順にCNRA作成の優先国が以下の通り決定されました。

トップ20カ国
1:アメリカ、2:カナダ、3:ラトビア、4:ロシア、5:スウェーデン 
6:エストニア、7:フランス、8:リトアニア、9:ポーランド、10:ブラジル 
11:スペイン、12:フィンランド、13:オーストリア、14:チェコ、15:スロバキア
16:日本、17:ベルギー、18:アイルランド、19:インド、20:南アフリカ 

※NRA承認済みや承認過程にある国が含まれているため、これら重複している国についてCNRAは優先的に作成されないと思われますが、FSC本部からはまだ明確な見解は発表されていません。
いずれにせよ、NRAの作成が遅れている東南アジアの国などは、CNRA作成の優先国としてもリストアップされていないために、これらの国についてはNRA、CNRA不在の状況になることが見込まれます。

CNRAの対象カテゴリー
現在、CNRA優先国について管理木材カテゴリー1(違法伐採)とカテゴリー5(遺伝子組み換え)についてはリスク評価をすることが決定しています。 残りのカテゴリー2、3、4(伝統的な権利・市民権の迫害、保護価値の高い森林の伐採、自然林の転換)については、現在検討中です。

管理木材基準の改訂
FSC-STD-40-005は予定よりも遅れていますが、改訂中であり、もうすぐ草案第2版が公開される見込みです。以下の点についてはこの中で明確になると思われます。 

  • NRAとCNRAの位置付け 
  • FSC-STD-40-005V2-1に従って実施したAnnex2の結果の有効期限 
  • 2015年1月1日以降NRAもCNRAも存在しない国から管理木材として調達するための方法

現在、管理木材を調達されている認証取得者で個別にご相談を希望される場合はFSCジャパン汐見(shiomi@forsta.or.jp)までご連絡ください。