第16回目となる今回は、長年森林総合研究所や神戸大学でナラ枯れや里山管理について研究され、現在は神戸市副市長として神戸市でSDGsに沿った政策の企画立案を担当されていらっしゃる黒田慶子先生に、里山の管理・活用方法や資源循環の試みについてお話しいただきました。
日本全国に広がる里山の「雑木林」。薪炭材の必要がなくなった前世紀中ごろから資源利用の対象とされてきませんでした。行政では「天然林」と分類され、「景観整備で美しく」という管理方法が主流になり、繁茂し過ぎてナラ枯れの蔓延を招く状態になっています。これを防ぐには、再びこれら広葉樹二次林を資源として積極的に活用していくことが重要であるというお話でした。
では、なぜ広葉樹は使われないのか。限られた種類の輸入材に頼る現状、お金にならないサプライチェーンの仕組みなどが課題として示され、それに対する解決策として、神戸市で行われている伐採前の資源把握と利用者(販売先)のマッチングや、木の様々な部位を有効活用するカスケード利用、備長炭生産による付加価値を付けた地産地消の取り組み、広葉樹の資産管理のためのMORI TAGシステム、グリーンツーリズム等との合わせ技も紹介されました。里山のみならず、都市も含めたサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現には森林関連業種に限られない様々な企業・団体の協力が不可欠であることから、関心をもつ参加者への協力が呼びかけられました。
本勉強会には164名の方にご参加いただき、大変盛況のうちに終了いたしました。
録画・資料はご登録またはお問い合わせいただいた方々にのみ配布しております。