新しいリスクアセスメントは、これまで同様に管理木材のコンセプトの中でFSCミックス製品の製造に用いるために使用されますが、それだけではなくEUDR(EU森林減少フリー製品に関する規則)のような新たな法的な要求事項に関するリスク評価のためのツールとしても使用可能なものとなります。新たなリスクアセスメントは、効率的にリスクを評価し、リスク回避・低減をしたい企業にとって貴重なツールとなるはずです。

またFSCはさらに一歩踏み込み、同じような課題に直面しているパートナーとの提携を目指しています。リスク情報アライアンスを通じて、FSCは他のサステナビリティリーダーと協力することで、グローバルなサステナビリティリーダーシップを育成したいと考えています。目標は、認証取得企業だけでなく、非認証取得企業にも利益をもたらす、単一の標準化されたリスクアセスメントの枠組みを開発することです。

リスク情報アライアンスの設立はFSCにとって革新的な一歩であり、持続可能性の実践における世界的なリーダーとしての位置づけとなるはずです。協力的なアプローチ、合理化されたプロセス、そして標準化された枠組みは、効率的なリスク評価とリスク回避・低減へのコミットメントを示し、最終的には世界の森林の保全と責任ある管理に貢献します。

なぜリスク情報アライアンスを設立するの?

EUDRやその他の規制への適合を目指す企業をサポートする長期的なソリューションとして

様々な日用品に使用できるリスクアセスメントを策定することで、企業がデューデリジェンス実務に必要とする労力を劇的に削減することができます。リスク情報アライアンスのリスクアセスメントを用いることで、認証取得企業や非認証取得企業は当局に対してリスクアセスメントとリスク回避・低減措置を示すことで強力なデューディリジェンスを実施できます。これはEUDR への適合をサポートするための重要なツールとなります。リスク情報アライアンスの設立は、FSC EUDR Aligned の一環として既に実施されているリスクアセスメント関連作業に基づいています。

合理化された要求事項の策定と意思決定

リスク情報アライアンスは、要求事項の策定と意思決定プロセスの合理化を目指しています。他にサステナビリティリーダーと協力することによって、FSCは様々な専門知識を活用することができ、リスクアセスメントのアプローチが、包括的かつ世界的なベストプラクティスに沿ったものであることを保証できます。

マルチステークホルダーによる議論でのリーダーシップの発揮

協力体制を通じてFSCは、マルチステークホルダーによる議論におけるリーダーとしての役割を維持していきます。積極的に他のサステナビリティリーダーへ働きかけることでFSCは、リスクアセスメントとリスク回避・低減措置に関する世界の実践を形作るための影響を与えられます。

FSCの範囲を超えたリスクアセスメントにおけるリーダーシップの発揮

リスク情報アライアンスは、FSC認証制度の範囲の中だけでFSCをリーダーに据えているのではなく、より幅広いリスクアセスメントとリスク回避・低減措置におけるリーダーとして位置付けています。これによってFSCは、様々な業界での持続可能な行動の策定に貢献できます。

時間的制約とキャパシティーの課題への対応

この協力関係は、リスクアセスメント策定の多様なプロセスの時間的制約とキャパシティーの課題への対応を可能とします。FSCへの依存を減らし、より効率的かつ短期間でリスクアセスメントを完成させることが可能となります。

ベストプラクティスの共有に基づくリスクアセスメント要求事項の合理化

リスク情報アライアンスは、他のサステナビリティ制度に高い保護価値(HCV)の保全や遺伝子組み換え生物(GMO)の排除のようなFSCの価値観を共有することを目指します。この協力的アプローチによってリスクアセスメント要求事項の全体的な効果を強化することができます。

FSCリスクアセスメントの変化についてより詳しく知りたい場合

新たなFSCリスクアセスメントは、EUDR要求事項に整合したうえで、FM認証とCoC認証に適用されます。2024年2月1日~3月1日にかけて、リスクアセスメントの変更点とアプローチに関するパブリックコンサルテーションが実施される予定です。新たなリスクアセスメントは、FSC EUDR Alignedの一環であり、特にその中でもFSC規制モジュールに含まれます。

FSC国際事務局では、FSC EUDR Alignedに関するオンラインセミナー(英語)を開催する予定です(詳細はこちら)。

現状と今後の展望

現状:FSCは現在の枠組みにおける管理木材のリスクアセスメントを60ヵ国で策定しています。

2024年6月:FSC EUDR Alignedに、EUDRへの適合を目指す企業が使用可能な新たなリスクアセスメントの枠組みが含まれる見込みです。

2024年7月~2024年12月:20ヵ国分のリスクアセスメントをEUDRに整合するように更新する予定です。

2024年12月以降:残りのFSCリスクアセスメントの策定と維持。

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