この度、ピレリが世界で初めてのFSC認証タイヤを発表したことは、持続可能性における飛躍的な進歩と言えます。今回新たに発表されたPirelli P ZEROタイヤは、BMW X5プラグインハイブリッドモデルに使用される予定であり、FSC認証天然ゴムやレーヨンが使用されています。
天然ゴムは、靴やマットレスなどにも使用されており、私たちの生活に欠かせない素材です。世界の天然ゴム生産の80%は、600万人の小規模所有者が担っています。熱帯のラバーベルトと呼ばれる地域で、それぞれが1~2 haの様々な状態の天然ゴム農園を管理しています。これらの小規模所有者が抱える、社会、環境、経済的なニーズを満たすことは、非常に大きなチャレンジです。天然ゴムプランテーションでのFSC FM認証取得や、加工業者によるFSC CoC認証取得は、責任ある、持続可能な天然ゴム生産を支えることで、この課題を解決する手助けができます。
FSCは、既に様々な産業においてFSC認証天然ゴムのバリューチェーンを進めてきました。FSC認証天然ゴムが使用されている商品には、手袋、履物、マットレス、枕、ヨガマット、風船などがあります。FSC認証は、これらの商品が安全な労働環境の下で森林破壊やその他の環境被害を与えないように管理された森林やプランテーションからつくられていることを保証します。
世界の天然ゴム生産の7割程度がタイヤ業界で消費されています。従って、持続可能な調達におけるFSC認証の役割は非常に大きな意味を持っていますが、これまでFSC認証タイヤが作られることはありませんでした。今回ピレリとBMWグループが世界で初めてのFSC認証タイヤを発表したことは、天然ゴムバリューチェーンを持続可能に変えていくための非常に大きなステップであると言えます。
FSC国際事務局のチーフマーケットオフィサーであるJeremy Harrisonは、次のように述べています。「今回発表されたピレリのFSC認証タイヤは、天然ゴムバリューチェーン全体に経済、社会、環境的な恩恵をもたらす歴史的な出来事です。特に天然ゴムの持続可能性という課題に対して重要な意味を持っています。私たちは、ピレリの責任ある調達へのコミットメントと、小規模所有者による天然ゴム生産においてもFSC認証タイヤのバリューチェーンを作ることができると示してくれたことに対して感謝します。また、FSC認証タイヤの開発をサポートし、自身の自動車への採用を決定したBMWグループにも拍手を送りたいと思います。これは、森林破壊を止め、気候変動に立ち向かうための、より持続可能な天然ゴムバリューチェーンに向けた旅の始まりです。」
この発言を受け、ピレリのSustainability and Future Mobility副社長であるGiovanni Tronchetti Provera氏は次のように続けました。「持続可能な交通手段は道路にたどり着く遥か前の原材料から始まります。今回の世界初のFSC認証タイヤの発表によって、ピレリは持続可能性という日に日に難しくなる目標を追求するというコミットメントを再び示しています。これは私たちの原材料革新と最先端の製造プロセスの証拠です。私たちは、地球を持続的に発展させることがビジネスの未来に重要であると認識しており、持続可能な発展への投資を続けます。」
BMWグループの、FSC認証タイヤを使用するという望みが、数年かけて小規模天然ゴムプランテーション所有者を含むピレリのサプライチェーンによって実現しました。BMW AGの役員であり、サプライヤーネットワークの責任者であるDr. Andreas Wendt氏は次のように述べました。「プレミアムメーカーとして、私たちは持続可能性と責任をけん引していきたいという野望を持っています。私たちは、2015年からサプライヤーネットワークの透明性を向上し、天然ゴム栽培を改善することに尽力してきました。認証ゴムをタイヤに使用することは我々の業界における先進的な成果であると言えます。このようにして、私たちは生物多様性と森林を保全することで気候変動の緩和にも貢献できます。」
FSC、ピレリ、BMWグループは2018年に世界の天然ゴム業界の持続可能な開発をサポートするために設立された「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(Global Platform for Sustainable Natural Rubber, GPSNR)」の会員です。FSC認証天然ゴムをタイヤに使用することで、ピレリとBMWは自身のコミットメントを満たすだけでなく、グローバルプラットフォームの共通目標への貢献も示しています。
FSCは本件で示された持続可能性のリーダーシップを歓迎します。これがタイヤ産業全体が変わるきっかけとなることを期待しています。
※本リリースはFSC国際事務局が発表したリリースをFSCジャパンが翻訳したものです。原文はこちら。