革新的な技術を思い浮かべる際にFSCが出てこなくても誰もあなたを責めないでしょう。私たちの関心は樹木、土壌、野生生物、人間と常にアナログ寄りでした。しかしFSCは、これまで経験してきた課題である、サプライチェーンにおける偽装問題やグローバルマーケットで小規模森林所有者が競争するためにはどうしたらよいのか、などについて最先端のソリューションを見つけるべく2022年3月に世界で最も進んでいるテクノロジー企業を招集しました。

FSCテクノロジー・コンソーシアムと命名されたこのグループは毎月オンラインでの会合を行っています。世界中のリーダーが参加をしているこの会合では、毎回FSC側の専門家が業界の課題を共有し、そのソリューションを見つけるために、どのようにIT技術が役立てるのかを議論しています。多くの場合、参加者は様々な選択肢、アイディアや次ぐのステップを検討するために、会議が終わってから何週にもわたり議論を続けています。FSCのチーフITオフィサーでありITディレクターであるMichael Marusは次のように述べています。「これらのテクノロジー企業がもたらしてくれているものは、様々な業界からのテクノロジーに関する知識、ノウハウや専門性であり、これらによって私たちの森林がテクノロジーの恩恵を受けられるようになる変革が推進されています。」

FSCのパートナーでもあり、市場をリードする地図と地理空間情報システムの提供企業であるEsriは、コンソーシアムに参加を決めた最初のメンバーの1社です。最初のメンバーには他にもデータの可視化に特化しているTableau(現在はsalesforceの一員)やTrimbleといった企業が含まれます。またコンソーシアムの発足後すぐにAmazon Web Services、Microsoft、DocuSignや地球画像提供企業のPlanet、そしてテクノロジーコンサルティング企業のSlalomが参加しました。

発足からまだ日が浅いグループですが、既にいくつものアイディアが出ています。電子署名を行うためにDocuSignを招集したことから、どのようにブロックチェーン技術を用いた取引情報の安全なやりとりに彼らが役立てるのか検討が始まりました。コンソーシアムの成長と共に各参加企業がFSCの仕事を加速し、強化するためにどのようにITが使えるのかアイディアを共有してくれています。

既にいくつか実現したものもあります。FSCに空間地理テクノロジーの力を与えるためにEsriは最近180万米ドル相当のライセンス契約をFSCに与えてくれました。これによってFSCはFSC認証林のデジタルマップを作るために重要なデータの収集が可能となります。これは気候変動の緩和や生態系サービスに関する私たちの仕事にとって役立つと考えられます。Planetは50㎞相当の50㎝衛星画像の提供をしてくれました。これによってFSCスタッフはガボンの木々を調べることが出来、現地に訪問をしなくても森林の健全度を示す指標を確認できるようになりました。Slalomは無償でFSCの制度信頼性チームの支援し、信頼性リスクのモデルの構築を手伝ってくれています。Trimbleの代表はFSCの2022年総会にパネリストとして参加をしてくれ、また総会の共同スポンサーにもなってくれました。FSCの上級テクノロジー・オフィサーであるScot McQueenは次のように述べています。「これらは今まで私たちが持ち得なかった全く新しい関係性であり、この関係を築けたのはコンソーシアムのおかげです。この関係性は金銭的な支援を超えた非常に重要な価値をもたらしてくれています。」

コンソーシアムへの参加企業にとっても、FSCと協力することは、彼らの技術をこれまでとは異なる対象に使ってもらう機会となっています。FSC投資&パートナーシップの開発ディレクターであるSharon Londonは次のように述べています。「多くの企業にはCSR目標があり、この活動が自身の技術を還元するよい手段となっています。」

コンソーシアムが発足する前から、FSCのテクノロジー関連の仕事にとって、パートナーシップは切っても切り離せない存在でした。例えばM.J. Murdock Charitable Trustからの寄付金はFSCテクノロジー・ユニットの人材確保の財源となっており、FSCのデジタル革新を後押ししています。2019年にはオランダ郵便番号宝くじによる100万ユーロの寄付金があり、FSCのテクノロジーへの投資、特に小規模森林所有者のための活動に使われました。Sharon Londonは次のように続けています。「私たちはこれらの財源やパートナーシップを活用して、FSCの責任ある森林管理のためのミッションを新しい方法で推進しています。そのためにFSCテクノロジー・コンソーシアムが活動をしています。これは新しく革新的な技術をどのように用いることでこれまでの仕事をより推し進めることが出来るかということです。」

現在までの成功からFSCはテクノロジー・コンソーシアムが今後も長期にわたって活動を続けることを期待しています。またこれからコンソーシアムに招待したい企業についても検討しています。FSCと似た課題に取り組んでいる企業とは今後長期に渡りパートナーシップを形成できると信じています。

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