この問題によって、最も大きな影響を受ける業界の一つが、スノーボード板の芯材に桐を用いているスノーボードブランドです。つまり、FSCラベル付きのスノーボード板が実は非認証桐材を使用していたということです。

桐材は、多くの場合にスノーボード板の芯材として他の樹種と合わせて使用され、スノーボード板全体の10~20%を桐材が占めます。非認証材が使用されたことで、商品の品質が保証されないわけではありませんが、非認証材はFSCの高い社会・環境基準に基づく審査を受けた責任ある森林管理に由来していないという問題を有します。

以前から複数回にわたりお知らせしている通り、FSCでは桐のサプライチェーンにおける不正の調査を行ってきた結果、少数の中国企業が非認証桐材をFSC認証材として供給していたことを確認しました。この非認証桐材は、その後スノーボード板の製造サプライチェーンに流れ、多くの誠実な企業が非認証材だと気が付かずに使用していました。

FSC主任マーケティングオフィサーであるJeremy Harrisonは次のように述べています。「関連スノーボードブランドは、今回の桐サプライチェーンの上流で起こった不正による結果に苦しんでいます。これらのブランドは、顧客に対して透明性をもってこの問題を正直かつ誠実に説明することが求められます。もちろんこれらのブランドがこれまで行ってきた持続可能な調達は称賛されるべきであり、またこれから認証桐材を確保するためにFSCと共に努力をしていく姿勢も評価されるべきです。」

これまでの桐サプライチェーンの調査の結果、FSCは非認証桐材を不正にFSC認証材として取引してきた企業に対して、認証取り消しや認証一時停止という措置をとっています。

今回の不正は、FSCの「取引情報の照合」という方法を用いて発見されました。取引情報の照合とは、特定の製品タイプ、製品グループまたは特定の地域を対象に一定期間の取引データを比較検証するというものです。

FSCは、ブランドの信頼性を最優先することで、木材と木材製品の責任ある調達のためのツールとしての優位性を保っていきます。

桐は東アジアに自生するいくつかの早生樹の総称です。軽い材質に特徴があり、中国北部で人工林として管理されています。その材は多様な使われ方をしており、家の部材、スポーツ用品、家具、楽器などに使われています。

FSCは、森林認証の先駆者として持続可能な森林管理の分野で25年の経験を有し、世界で最も信頼される森林認証制度となりました。FSCはその専門性を用いて世界の責任ある森林管理を推進するために、環境、経済、社会分野の専門家と協働しています。FSCは、どのように森林の持続可能な管理ができるかを示した規格を作り、また認証された森林に由来する製品を識別するためのラベルを提供しています。FSCの規格は10の原則に基づき、森林破壊や森林劣化を防ぎ、生物多様性、水質、炭素固定機能、先住民族の権利、労働者の権利やその他多くの環境や社会的な価値を守る要求事項を定めています。

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