FSCの最高意思決定の場となる会員の総会は3年に1回開かれ、FSCの今後の方向性に関わる多くの動議が会員によって審議・採決されます。会員は社会、経済、環境の三つの利害関係に基づいた分会(Chamber)に分かれて投票し、各分会には均等の投票権が与えられているというのがFSCのユニークな特徴です。

今回の総会には、492名のFSC国際会員と119名のオブザーバーに加えてFSCスタッフも146名参加し、メディアその他を加えた総参加者786名と過去最大規模の総会となりました。日本のFSC国際会員からは3名が出席しました。その他日本からは、認証取得者5名、その他関係者数名とFSCジャパン事務局長及び3名の理事が参加しました。

総会全体のプログラムはこちらからご覧いただけます(英語のみ)。

2017年9月現在、FSC国際会員は1047組織/名いますが、この内日本の会員は9組織/名だけです。FSCの今後の活動の方向性を決定する総会において、影響力を強めるために、日本の会員が増えるとともに、更には自ら望む方向性にFSCを導くために動議を提出していく積極性が大切です。FSCとはそうした「声」を出し合いながら皆で形作って行く組織であり、制度です。

FSCジャパンでは、国際会員入会申込み手続のサポートを行っておりますので、ご関心を持たれた方はお気軽にご連絡ください。

また、FSC本部とFSCジャパンで総会前から総会期間中に話し合った結果、第77回FSC国際理事会(次々回)が来年2018年3月半ばに日本で開催されることが決定しました。本件については、詳細が明らかになり次第追って本ウェブサイトのニュースにてご案内いたします。

Side Event

総会の前半では3つのハイレベルフォーラムと多くのサイドイベントが開催され、今回提出された動議に関する背景の理解を深めるとともに、以前の総会の動議として承認された活動の進捗状況や、FSCの最新の展開状況や今後の展開方法などについての報告、意見交換がなされました。

ハイレベルフォーラム:

  • 森林の本当の価値
  • 建材としての木材の社会的な見直し / 森を守る~サプライチェーンのその先に~
  • 日常生活の中のFSC

サイドイベントの一例:

  • 森林転換からの保全と回復
  • 農薬使用の原則の見直し
  • ILO中核的労働基準の審査可能な指標
  • 生態系サービス市場に向けたFSC
  • FSCの評判の維持するには
  • 管理木材の戦略
  • 管理木材のリスク評価
  • 気候変動に対するFSCの効果
  • FSCとカーボンフットプリントとバイオマス
  • FSCとSDGsをつなぐ
  • FSCミックス製品の意味と伝え方
  • ファッションとFSC

また総会前半には、分会ごと、そして分会を跨いだ打ち合わせが活発に行われ、注目度の高い動議についてそれぞれの分会としての立ち位置が議論され、同時にこの水面下での交渉によって、多くの動議に必要な修正が加えられました。

Vancouver Declaration

11日(水)には、FSCと多数の日本企業を含む57社のグローバル企業による「持続可能な開発目標(SDGs)とFSC認証に関するバンクーバー宣言」が発表されました。これは、責任ある森林管理の下で生産された林産物の利用を促進するために、責任ある調達の推進を公約している企業が参加できる共同宣言です。

総会後半

12日(木)、13日(金)には、動議についての審議が行われました。総会中に追加提出された1件の動議を含め、全部で71件の動議が提出されましたが、投票日までの交渉により、31件の動議が審議日までに取り下げられるか、他の動議に統合され、最終的には40件の動議が審議にかけられました。

注:この40件の動議のうち、28件は総会前半の分会ごとの打ち合わせの中で、内容が修正されており、動議の投票にあたっては、審議日時点での最新情報を確認することが重要です。

また、審議にあたり、すべての動議を議論するための時間が不足する懸念から、まずは審議の優先順位付けが会員によって行われました。
会員による投票の結果、15件の動議が可決され、20件の動議が否決されました。残りの5件は、時間が足りずに投票されませんでした。
今回可決された動議は、迅速にFSCの組織改革や制度改正のための活動に反映されます。

以下から2017年総会動議一覧がダウンロードできます。これは全動議の投票結果等の概要を日本語でまとめた資料です。可決動議の英語原文はこちらのページからご覧いただけます(FSC国際会員のみ)。

今回可決された動議には、例えば次のように、認証取得者に直接影響を与えるものやFSCの組織構造に影響を与えるものもありますので、是非この機会にご一読ください。

  • 動議7番:1994年以降に自然林を転換して造られた人工林に関して、過去の転換に対する補償を含めた特定状況下で認証を認める指針、ガイダンスの作成を求める動議。
  • 動議56番:管理木材戦略が完成するまでの間、管理木材の信頼性を確保することを目的に、2019年1月1日までにCNRAとNRAを完成させることと、これらがない国では企業によるリスクアセスメントを認めないことを求める動議。
  • 動議69番:FSCの組織としてのガバナンス構造の見直し継続を求める動議。

また、今回は否決された動議64番「FSC国際理事とナショナルオフィスの理事の連携」及び動議66番「FSC国際会員制度とナショナルオフィス会員制度の統合」について、今後FSCによってあらためて検討がされる見通しです。

 

FSC_report_1513158078_file.pdf
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