FM認証(FM国内規格策定)

認証製品は認証された森林から生産された原材料から作られますが、何を以て責任ある森林管理というのでしょうか。
FSCの理念である「環境保全の点から見ても適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理」を具体化したのがFM認証の規格です。

FM certification
FSC AC

FM(森林管理認証)

最新のFM規格には10の原則、70の基準、更にその下に約200もの細かい指標があり、この規格に沿って審査を受け、大きな不適合がなければ認証を受けることができます。

FSC森林管理の10原則 (FSC-STD-01-001第5版):

  • 1. 法律の順守: 森林管理や取引に関する国内法や国際条約が守られているか?
  • 2. 労働者の権利と労働環境:労働者の権利や安全は守られているか?
  • 3. 先住民の権利:先住民の権利は侵害されていないか?
  • 4. 地域社会との関係:地域社会と連携し、よい関係を築いているか?
  • 5. 森林のもたらす便益:森林の多面的な機能が考慮されているか?
  • 6. 環境価値と環境への影響:環境への影響は評価され、環境が守られているか?
  • 7. 管理計画:きちんとしたデータや情報に基づく計画がされているか?
  • 8. モニタリングと評価:環境や社会への影響がモニタリングされ、負の影響が抑えられているか?
  • 9. 高い保護価値:森林の生態的、社会的に高い保護価値は守られているか?
  • 10. 管理活動の実施:管理活動は計画通りに行われているか?

FM認証には、単独認証とグループ認証があります。グループ認証は小規模な林家が多数集まった森林組合のような団体において、グループ管理者がグループメンバーをまとめ、認証の窓口となることで、各林家への認証の経済的、事務的負担を軽くすることができます。また、FSCでは条件を満たす小規模または低強度な森林管理をしている森林管理事業体には、認証プロセスを簡略化するシステムもあります。

FSCの原則と基準_第5-3版
PDF, サイズ: 1.01MB

この原則・基準は国際的に共通で、FSC認証の取得を希望するすべての管理森林に適用されます。しかし、国や地域によって状況は異なるので、基準の下の指標は国・地域の規格によって多少の違いがあります。これは、どういった指標がその国の実情に合うか考慮し、話し合われた結果です。

2016年には原則と基準第5版に付随した国際標準指標(IGI)が発表され、各国で適用される指標にもある程度の統一が図られることになりました。各国ではこのIGIを各国の実情に合わせて検討し、各国の指標を策定することが求められています。森林管理認証は、各国で策定された指標も含む、国内規格に基づいて審査されます。

FM国内規格策定

FSCの理念を反映したFSCの根幹とも言える森林管理認証の原則・基準が2012年に改定され、その下の国際標準指標(IGI)の完成版が2015年6月に発行されました。これを受け、世界各国で国際標準指標をたたき台に各国の実情と照らし合わせて国内規格を策定するプロセスが行われています。

日本国内においても、2015年からFSC手順FSC-PRO60-006第1-0版「国内森林管理規格の策定とFSC原則と基準第5版へのトランスファー」に従い、国際標準指標(IGI)ひとつひとつについて規格策定グループ(SDG)を中心に採用、適合、棄却、追加の議論が行われ、2回のパブリック・コンサルテーションとフィールドテストを経て2017年12月に国内規格最終草案が完成しました。

2018年に同規格はFSC指針・規格委員会によって正式に承認され、2018年11月15日に公開されました。また2020年12月には、IGI第2版を反映したFM国内規格の第1.1版が発効しました。

FSCジャパン代表、および規格策定グループ議長の太田猛彦による経緯の詳細な報告は以下からダウンロードいただけます。

承認されたFM国内規格と、日本語参考訳はこちらのページからダウンロードいただけます。

FSCジャパン代表よりご報告.pdf
PDF, サイズ: 496.79KB

HCVと農薬指針

HCVs

高い保護価値(HCV)

FSCの生み出したHCVという概念について、またFSC認証制度内での位置づけや、評価方法について紹介しています。

Pesticide policy

農薬指針

FSC認証林における化学合成農薬使用に関するFSCの考え方と要求事項を示した指針です。