こちらのニュースでお知らせしました通り、少数のベトナムの認証取得者によって大量に虚偽表示をした木質ペレットが製造・販売されたことが確認されました。これはアジア太平洋地域における木質ペレットサプライチェーンの信頼性について大きなリスクを示すものです。

今回の取引情報の照合調査第2段階においてFSCは次のベトナム企業2社を虚偽表示を行っていたとしてブロックしました:

  • An Viet Phat Energy Co Ltd(SGSHK-COC-370077)。FSC認証原材料であることが確認できない原材料を使用して製造した木質ペレットにFSC100%表示を付けて販売していました。
  • Tam Phuc Gia Lai Trading Co Ltd(NC-COC-053381)。FSC認証製品の取引がなかったと申告をして、認証機関による年次監査の免除を受けていましたが、実際にはこの期間にFSC表示付きで製品を販売しており、申告内容と矛盾していました。

一連の取引情報照合調査は2021年にFSCとASIによってアジア太平洋地域の木質ペレットの商流や数量を把握するために開始されました(詳しくはこちら)。この調査で提出された認証取得者の取引データを調べた初期調査では、ベトナムが最大の生産国であり、日本が最大の消費国であることが示されました。

An Viet Phat Energy社に対する調査ではベトナムのFSC FM認証林から木質ペレット製造向けに販売された木材の数量と、ペレット製造者側が請求書内で謳っていた木質ペレット製品の数量に大きな不一致の可能性が示されました。また木質ペレット製造におけるFSC管理木材原材料への大きな依存も確認されました。このことから、ベトナムの認証取得者が、日本や韓国からの木材伐採に関する法的な要件と木質ペレットの大きな需要に応えようとしていたことが示唆されます。

ベトナムの木材産業協会は原材料調達に関する懸念を表明しており、これには木質ペレットサプライチェーンに大きく影響する、他の木材サプライチェーンからの端材・廃材も含まれました。原材料不足は新型コロナウイルスの流行下で始まり、現在もペレット製造業者に対する認証原材料の十分な供給を確保するのに影響が続いています。

また今回の取引情報の照合調査の最終結果では、日本のFSC認証取得企業がベトナムのFSC認証取得製造業者からFSC管理木材表示の付いた木質ペレットを購入して、認証を取得していない日本の消費者に販売をしたことも判明しました。これはFSC管理木材表示に関するルール違反の可能性があります。FSC CoC規格には、販売請求書と納品書上にFSC管理木材表示をするためには、対象物が最終製品ではない原材料または半製品であり、かつ販売先がFSC認証取得者でなければならないというルールがあります。

FSCは、サプライチェーンの信頼性に関する違反を重く受け止めています。虚偽表示をしているとしてFSCからブロックされた企業は、FSCに関連した活動を一切行えなくなります。これには認証の再取得、製品へのFSC表示やFSC商標の使用、FSC認証材を使用した外部委託加工、マルチサイトやグループCoC認証への参加などが含まれます。

FSCは、更に不適合製品に関するリスクに対処するための厳格な要求事項も定めています。不適合製品を取引した認証取得者は認証機関に連絡をし、規準文書に従った是正、再発防止活動を行う必要があります。

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