第13回目となる今回は、積極的にFSC認証材を取り入れプロジェクト認証に取り組まれている愛知県一宮市の工務店、株式会社エコ建築考房の喜多茂樹社長にFSC認証材を利用した家づくりビジネス展開についてお話しいただきました。

プロジェクト認証を取得しなければ建築物におけるFSC認証材の利用の宣伝は難しく、国内の認証林からの国産FSC認証材、特に用材としての需要はまだまだ限られています。そんな中、木材の原産地・岐阜県東白川村の認証取得事業者と協定を結び、認証材を安定して調達し、次々とプロジェクト認証を取得してきたエコ建築考房。しかし、その前提には、一般的な消費者は、木材の産地やエシカル性よりも、デザイン、快適性、機能性を重視するという厳しい現実への認識がありました。

FSC認証を前面に押し出すのではなく、まずはそうした一般的な側面で評価してもらい、FSCは後付けで理解や共感の輪を広げていくという戦略を取った喜多社長。体験によってFSC認証を知ってもらうため、調達先の東白川村への植林ツアーを企画したり、木造の子供遊び場つなぐの森ハリプー」をつくるなど、様々な取組を続けています。そうした積極的な動きが耳目を集め、共感する事業者の輪が広がり、法人顧客の店舗などでFSC認証が評価され、次々とプロジェクト認証の店舗が生まれました。2023年8月にはプロジェクトを管理するシステムを維持して認証を維持し、次々とプロジェクトを建てられる「連続プロジェクト認証」をアジア初めて取得されました。道徳と経済の両立、「社員、仕入れ先、お客様、環境の四方良し」という自社の企業理念を実践するツールとしてFSC認証を活用を続けるエコ建築考房。ビジネス戦略の事例としても大変興味深いお話でした。

本勉強会には73名の方にご参加いただき、大変盛況のうちに終了いたしました。

セミナーで使用されたスライドは以下からダウンロードいただけます。

「責任ある森林管理のための勉強会」は、全国のFM認証取得者や、FSC認証木材に関わるCOC認証取得者の皆様をはじめ、FSC認証にご関心のある皆様を対象に、責任ある森林管理に関する有用な情報を提供するために企画しているオンラインセミナーです。
FSCジャパンでは、今後も様々なテーマセミナーを開催する予定です。

エコ建築考房_FSC認証木材の活用とビジネスチャンス20231124.pdf
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