※2024年11月20日現在の情報

先週、欧州議会は欧州森林破壊防止規則(EUDR)の改正案についていくつかの投票を行いました。投票結果は以下の通りです。

  1. EUDRの1年間の段階的導入期間。これは、大規模事業者および仲介・流通業者は2025年12月30日までに、小規模および零細企業は2026年6月30日までに遵守しなければならないことを意味します。
  2. 国別ベンチマークの「ノーリスク」カテゴリーが承認されました。これらの地域から調達する企業はデューデリジェンスの義務が限定的であり、EUDRの管轄当局によるチェックも少なくなります。

欧州議会、欧州理事会、欧州委員会は、2024年12月30日までに上記の合意に達する必要があり、合意に達しない場合は、EUDRは当初のスケジュール通りに発効します。

FSCの森林に対する取り組みは揺るぎない

FSCは、EUDRとその使命、すなわち欧州および世界中で森林破壊のないサプライチェーンを推進するという使命を強く支持しています。私たちの使命は相互に補強し合うものであり、私たちはこれまで、企業がEUDR対応の準備を進めることを積極的に支援し、移行を容易にするためのツールを開発し、EUDRの実施を支援する準備を進めてきました。

EU諸機関間の最終合意の如何に関わらず、私たちは、健全で豊かな森林と森林コミュニティへを守るためにこれからも活動を続けていきます。これが、FSC認証取得者がEUDRに対応する際利用できる一連のツールである「FSC Aligned for EUDR」の中心にFSC認証を据えている理由です。私たちの規格は、森林破壊を防止するだけでなく、社会的にも環境的にも最も厳しい基準を設け、生物多様性と先住民の権利を積極的に保護しています。

サプライチェーンのどの段階にある企業であっても、FSCを選択することは、製品がどこで取引されるかに関わらず、森林管理のための最高水準の基準を選択することでもあります。

不確実な時代におけるコンプライアンスサポートの最適化

FSCとEUDRの使命が共通していることを踏まえ、2023年6月に規制が施行された際には、企業のコンプライアンスの簡素化を優先しました。複数のプロジェクトの開発を加速させ、新たなソリューションの構想に取り組みました。しかし、次々と新たな情報が出て来る中で新たなツールを開発することは困難であり、度重なる再設計や修正が必要となりました。

2024年7月には、EUDR対応FSCアラインドの最初のパーツであるFSC Regulatory ModuleFSC Risk Assessment Framework を公開しました。FSCリスクアセスメントの改訂プロセスを加速させるとともに、サプライチェーン全体にわたるトレーサビリティの自動化をサポートするFSC Trace の開発も進めました。デジタルリスク評価の維持をサポートする FSC Risk Hub の開発を進め、また、商品全般にわたって信頼性の高いリスク評価の開発と維持を行う Risk Information Alliance を共同設立しました。

EUDR対応FSCアラインドは、包括的なツールとなることが想定されており、私たちはこの目標に引き続き取り組んでいます。2024年末までに予定されている EU 審議の結果次第では、ツールの要件が変更される可能性もあります。そのため、この機会に、必要な調整や優先すべき機能について検討するため、包括的な技術影響評価を実施しています。また、既存のツールへの潜在的な影響についても分析しており、最終的には FSC 認証取得者およびライセンス契約者の方々への最善のサービス提供を目指しています。

FSC Traceは、当社のデジタルツールの基盤であり、10月に最初の企業が登録を開始しましたが、現在の不確実性とEUDR導入延期の可能性を考慮し、現時点では積極的な登録開始は行っておりません。

早期導入企業は今年中に取引先を招待できるようになり、それにより利用者の拡大とプラットフォームの利用開始が可能になります。2025年初頭には、企業に積極的な登録開始の案内をする予定であり、優先アクセスに登録した企業から案内を開始する予定です。

森林保全の取り組みを続けます

EUDRをめぐる状況や世界の森林を取り巻く環境は不透明かもしれませんが、FSCは30年にわたり、環境、社会、経済のバランスを森林にもたらすべく、進化と適応を続けてきました。
私たちは今後も変化する状況に適応し続ける一方で、何よりも気候変動、生物多様性、そして人々に対する変革の可能性を受け入れ、世界的な森林管理の推進を続けていきます。

規制の結果にかかわらず、企業、政策立案者、NGO、森林従事者など、すべての利害関係者が、森林保全という共通の使命を継続することを強く求めます。

eudr news

元記事はこちら。