FSCの統一補償枠組みには、環境や社会への補償を通じて、状況の修復を推進したいというFSCの姿勢が示されています。この枠組みは、不適合企業が対応しなければならない補償及び修復活動に関する基準という形でルールや要求事項が定められています。FSCの統一補償枠組みは、これまでに紹介されてきた林地転換の補償手順とFSCとの関係修復のための枠組みに関する指針の条項を統合したもので、かつ林地転換への対応手順やFSCと組織の関係に関する指針のような、その他のFSC指針や手順との整合性を図った文書です。
FSCは、過去に環境や社会に損害を与えた不適合企業に対して、これらの損害を公正かつ相応な規模で補償、修復することを求める、唯一の責任ある森林管理および林産物の認証制度です。
FSCの統一補償枠組みは以下の組織に対して適用されます:
1.関係断絶組織:本枠組みは、FSCと組織の関係に関する指針の要求事項への継続的かつ反復的な違反によってFSCとの関係が断絶された企業が、関係を再構築するためのロードマップをFSCが作成するために使用されます。
2.過去に林地転換を行っているがFSC制度を利用したい企業:本枠組みは、このような企業が満たすことを求められる補償・修復活動や基準を定めます。これらを満たすことでこのような企業はFSC森林管理認証を申請できるようになります。
FSCの統一補償枠組みによってもたらされることが期待されるもの:
- FSCが不適合企業にどのように対応しているかについて透明性を保証する。
- 損害に対する公正かつ相応な規模での補償・修復を含むロードマップの作成。
- FSC認証制度の信頼性・完全性を高める。
- 関係断絶組織との関係再構築のための組織特有のロードマップ、補償活動そして1994年以降の林地転換への対応の基礎となる標準化された枠組みを持つ。
- 関係断絶を解消するためのロードマップ作りにおいて、明確で定量化可能な条件を定める。
FSCはこの統一補償枠組みが、過去の環境や社会に対する損害に対する包括的かつ相応な規模での補償につながると信じています。この結果、FSCは世界の森林と森林に依存する人々に恩恵が与えられるような重要な成果につながる活動を推進できると信じています。
2022年2月24日から4月24日にかけて、FSCの統一補償手順草案のパブリックコンサルテーション(意見公募)が実施される予定です。コンサルテーションで寄せられた意見を基に草案を改善し、2022年8月のFSC国際理事会での最終版の承認を目指しています。予定通り8月の理事会で承認されれば、2022年10月のFSC総会で皆様に最終版を紹介できると考えています。また承認され次第、関係断絶組織とのロードマップ作りに活用をしていきます。
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