FSC国際理事会では、グリーンピースが最近発行した「Destruction: Certified」というレポートにおけるいくつかの誤解について明確にするため、ここに声明を発します。

FSCは誕生から25年に渡って、多様な利害関係者による総意と堅固なガバナンス構造を導入したパイオニアとして森林破壊につながらない木材や木材製品を社会に提供するミッションを導いてきました。

FSCは、FSCに従う企業が最も厳格な森林管理手法を順守することを保証することに重要な貢献しており、それ自体がグリーンウォッシュの試みに対して機能しています。FSC理事会は、FSCはグリーンウォッシュのための認証でしかないという主張には強く反対します。私たちの基準には、認証取得地域における林地転換を禁止する厳しいルールだけでなく、認証取得地域の外で林地転換を行った企業がFSCとの関係を継続できないという厳しいルールも含まれます。これは、「組織とFSCとの関係に関する指針」という、他の森林認証制度には存在しない仕組みによって担保されています。

FSCは、批判から学ぶ姿勢を失うことはありません。私たちはグリーンピースによるレポートを更なる学びと完全の礎として活用したいと考えています。しかし、レポート内で指摘されているほとんどの点は私たちにとって新しい指摘ではなく、私たちは世界で最も信頼できる森林認証制度であり続けるために、これらの指摘について既に改善のための取り組みを始めています。これについてはグリーンピースのレポート内でグリーンピース自体も認識していることを示しています(レポート86ページ)。

以下は、森林管理の最高水準のベンチマークという伝統を築いてきたFSCによる近年の改善点です:

1.2021年1月にFSCではCoC規格の中にFSCの中核的労働要求事項を反映することを承認しました(詳しくはこちら)。このことは、林業現場における労働者の権利だけでなく、130か国におけるFSC認証取企業のサプライチェーン全域にわたって労働者の権利が守られることを意味します。

2.FSCと先住民族との関係を強化するため、FSCではFSC先住民族基金を設立することで、先住民族をサポートし、先住民族が自身の権利を守りながらFSC認証を活用することで領土の持続可能な管理を通じた発展を促進できるようにしました。FSC先住民族基金では最近、権利と発展のための先住民族連盟を発足し、世界の先住民族を支援するために5年間で1300万ドルを用意しました。

3.2021年3月10日に、第87回FSC国際理事会において、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)実施のためのガイドラインの改定版を承認しました(詳しくはこちら)。これは先住民族がすむ土地における林業について、先住民族の権利を守り、必要な対話を行うための重要なガイドです。

4.最近作成されたインパクトダッシュボードというツールを用いて、FSCは他の森林認証制度が提供していない、世界の森林におけるFSC認証の成果に関する科学的な調査研究結果をまとめています。この透明性の向上と、FSC認証の社会・環境的な影響に関する科学的なデータの提供は、グリーンウォッシュであるという主張とはかけ離れた活動です。

5.グリーンピースは、FSCによる取引情報の照合が、中国でしか用いられていないと述べていますが、取引情報の照合は、世界中の様々なサプライチェーンで実施されており、ヨーロッパのパルプ木炭製品のサプライチェーンを含む様々な企業の認証停止や取消しにつながっています。FSC認証データベースでは、認証の一時停止、取消し、ブロックされた企業を検索することができます。

6.FSCのトレーサビリティの仕組みを強化するために、私たちはブロックチェーン技術を用いたパイロットテストを行うことに向けて精力的に取り組んでおり、認証サプライチェーンにおけるテクノロジーの最も重要な活用方法を特定しようと努力しています。FSCのCIOであるMichael Marusが、こちらのポッドキャストで、サプライチェーンの信頼性担保のために私たちが計画をしていることについて述べています。

7.他のいかなる森林認証制度も、「認証地域の地図化」をFSCのような早いペースで実現していません。FSCのGISポータルはFSCのコアとなる機能の一つです。FSCは2019年にGISベースの地図を公開しています。利害関係者は航空写真上でどこが認証林であるかを確認することができます。2021年の間にFSCではGISを用いた検証プラットフォームの改善に注力し、いくつかのFSCの原則と基準の要求事項への適合について航空写真等を用いた分析を可能としたいと考えています。

世界の森林破壊の原因となっているものの多くは、農地や居住地域の拡大や森林の伐採による土地の主張など林業に関係がないものです。従ってFSCは、それだけで世界の森林破壊をすべて止められるものではありません。しかし、25年に渡るFSCの成功によって非常に広大な認証地域での改善された森林管理が、森林破壊に関与しない木材や木材製品を消費者に届ける役割を担ってきました。FSCグローバル戦略2021-2026では、協力してソリューションを生み出すためのパートナーシップが謳われており、このために他のイニシアティブと密に協力して世界の森林を守り、管理し、復元をするための道筋が示されています。

FSCは、自身が様々な関係者が協力してミッションを達成するコミュニティであると理解しています。消費者は認証製品を選択することで、企業はFSCラベルを付けるための多大な努力をすることでこのコミュニティが成り立っています。FSCは、さらなる改善が必要なことも認識していますが、既に社会によって大きな貢献をしていることも知っています。FSC国際理事は、FSCがこれまでに築いてきた世界中の社会、環境、経済分野の利害関係者にとっての価値を作るための森林管理を可能とする総体的なアプローチを誇りに思っています。

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