このニュースは、2017年にFSCラベル付き認証木炭について、利害関係者から意図的かエラーか分からない非認証材混入の可能性に関する申し立てを受け、FSCとASIが調査を行ったことから始まっています(詳細はこちら )。調査では主に次の2つのツールが用いられました。ひとつは種組成を調べるための木材組織試験で、もうひとつが取引業者間の取引数量記録をASIが検証をする取引情報の照合です。
2018年の調査では、6000件の種組成の試験のうち5%近くが、木炭の生産に使用された木材はFSC認証林由来ではない可能性が高いという、好ましくない結果を明らかにしました。取引情報の照合では、900件の取引記録で取引業者間の記録に齟齬がありました。
これらの結果を受け、FSCは2018年から2019年初旬にかけて63のFSC認証を取り消し、疑わしい木炭製品を市場から排除しました。
2019年には更に5000件の種組成の試験が行われましたが、問題が見つかったものはありませんでした。この結果は、木炭サプライチェーンにおけるFSC認証製品の信頼性が著しく向上したことを示します。これから明らかになるであろう2019年の取引情報の照合でも同様に、取引情報の齟齬が著しく減っていることが期待されます。
これらの結果は「Ensuring the Integrity ofFSC's Charcoal Supply Chains (FSCの木炭サプライチェーンの信頼性の保証)」にまとめられています(英語のみ)。
今回の調査では、サプライチェーン内の270を超える認証取得組織のFSC取引記録を検証しました。FSCでは、これからも木炭サプライチェーンの信頼性を維持するために、木炭サプライチェーン内の企業の取引情報の照合と木材組織試験を継続する予定です。
FSC事務局長のキム・カールステンセンは次のように述べています。「消費者は、FSC認証製品を購入する際に、それらが最も高い社会・環境基準を満たしていることを信じています。そのため、サプライチェーンの信頼性は、私たちの活動の中核をなします。FSCラベルの誤用に関する報告を受けた際には、調査をした上で必要な措置を講じます。これには、問題を起こした組織をFSC制度から一時的に排除することも含まれます。」
今回の木炭サプライチェーンの件は、FSCによるサプライチェーン信頼性向上のための取り組みの一例でしかありません。FSCが成長し、CoC認証取得者数が増えるにつれ信頼性に関する問題が起こる範囲も広がっています。木炭同様に、すべての問題に対してFSCは認証監査データ、取引情報の照合、ファイバーテストやその他の方法を用いて、徹底的に調査します。
現在FSCでは竹、ホワイトオーク、テリハボク、桐についても信頼性のリスクがあるとして調査をしています。FSCでは、これらの調査を継続し、必要に応じて是正措置を講じていきます。
また、これらの経験からFSCでは、制度内での認証要求事項違反を減らすための方法も検討しています。これには例えば、FSC認証製品の販売がなかったと報告している認証取得者にも監査を義務化することや、FSC認証製品の販売がなかったと報告をしている認証取得者がFSCデータベース上で明確に識別できるようにすることなどが含まれます。
今後の展望として、FSCではブロックチェーン技術を用いた取引情報の照合のためのプラットフォームの構築を開始しています。2020年にはパイロットテストが実施される予定です。またFSC制度にこのプラットフォームを導入する前には利害関係者へのコンサルテーションが実施される予定です。
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