第9回FSC国際総会の可決動議である37/2021、40a/2021を受けて、この度FSCは「林地転換に関する指針」(FSC-POL-01-007)、「FSC補償の枠組み」そして改訂されたFSCの原則と基準(FSC-STD-01-001 V5-3)を作成・公開しました。

動議37/2021は林地転換に関する指針を実施するためにFSCの原則と基準への変更を求めるもので、2022年10月9日から14日にかけてインドネシアのバリで行われたFSC総会で可決されました。

今回のFSCの原則と基準の変更、そして林地転換に関する指針とFSC補償の枠組みの作成によって、FSCは世界に対して森林破壊を止め、失われた環境価値の復元と社会的な損害の補償を推し進めることを約束しています。

林地転換に関する指針は2022年8月にFSC理事会によって承認されました。これは自然林や高い保護価値(HCV)をもつ地域の転換に関するFSCの基本原則を強化し、同時に過去の転換によってもたらされた社会的、環境的な損害の補償のための道を提供するための指針です。また同指針では2020年12月31日以降に転換されて作られた人工林ではFSC認証を取得することが出来ないという期限を設けることで、FSCが森林破壊を止めるというコミットメントを強化しています。林地転換に関する指針はこちらからご覧いただけます(英語)。

今回の制度変更によって1994年12月1日から2020年12月31日の間に転換された森林が、FSCの原則と基準に沿った責任ある管理の下で復元され、将来的にFSC認証を取得するための道筋が示されました。このことによって破壊された森林や劣化した森林を復元するための市場動機を与えるツールとしての役割をFSCが果たせるようになりました。

また社会的、環境的な損害の補償のための要求事項を定めたFSC補償の枠組みも公開されました。この枠組みを通じてFSCは、林業分野で司法に頼らない補償のために環境価値の復元と社会的な補償を行う道筋を作る最前線にいます。FSC補償の枠組みは2022年12月の理事会で承認されました(詳しくはこちら)。FSC補償の枠組みは、「組織とFSCとの関係に関する指針」に定められている許容できない活動によってもたらされた過去の環境および社会的な損害を補償するための一連の要求事項です。

組織とFSCとの関係に関する指針」第3版の反映や、2020年12月31日より後に転換された森林がFSC認証を取得できないという要求事項を反映するために、FSC補償の枠組みは現在最終調整中であり、2023年3月の理事会に提出されます。

動議37/2021の内容の反映に加えて、原則と基準の改訂には動議40a/2021の反映も含まれています。こちらの動議は:原則 4 における自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の適用性の検討を求めたものです。原則と基準の第5-3版はこちらからご覧いただけます。

また関連アドバイスノートであるADVICE-10-004-01も同時に公開されています(こちら)。このアドバイスノートはFSCと関係断絶されているすべての企業集団や、「組織とFSCとの関係に関する指針」第2版へ違反しているけれどもFSCとの関係を構築したい組織に適用されます。

今後数週間以内にFSCは今回の原則と基準の改訂を反映した国際標準指標(IGI)を公開する予定です。この際IGIには、2022年3月に理事会で承認された農薬指針に基づく国際指標も同時に反映される予定です。またこれらの変更が認証取得者にどのように影響するのかを示したアドバイスノートも発行される予定です。

FSCジャパン補足:現在のところ、FSCジャパンではADVICE-60-006-02に基づき、今回の原則と基準ならびにIGIの改訂は、次回の日本国内FM規格の改定の際に反映をする予定です。

FSC国際事務局では今回の変更点に関するオンラインセミナーも予定しています。詳しくはこちらの元ニュースをご覧ください。