以前こちらのニュースでは世界自然保護基金(WWF)による森林認証制度の第三者評価結果をご紹介しましたが、依然としてこのような評価は英語での報告が主であるために、せっかくの評価結果が日本では知られていない場合が多くあります。

今回紹介するStandards mapは、世界貿易センター(※)の「持続可能な開発のための貿易(Trade for Sustainable Development、T4SD)」というプログラムの下で作成・運営されているウェブサイトで、200を超える数の規格が評価されています。評価対象は非常に幅広く、FSC、PEFC、ASC、フェアトレード、ILO、MSC、RSPOのような国際的な認証制度から、マクドナルドの供給者労働環境監査のような企業独自の規格まで含まれています。
Standards mapの最終目標は、持続可能な生産活動と取引を拡大することであり、そのために世界中に多く存在する持続可能性、食の品質と安全などを対象とした自主的な規格に関する情報を分かりやすく提供しています。

世界貿易センターは、世界貿易機関(WTO)と国連貿易開発会議(UNCTAD)との共同機関であり、世界貿易機関との連携によって、その顧客がWTOの恩恵を得られるように支援する役割を持つ一方、国連の開発機関として、ミレニアム開発目標(現在は2030アジェンダに引き継がれています)の達成を促進する役割も持っています。
(FSCと持続可能な開発目標(SDGs)に関してはこちらのニュースをご覧ください。)

FSC PEFC comparison

Standards mapでは、林産物の取引を対象とした規格としてFSC、PEFC、SFIなど多くの規格が評価されています。
ここでは、その中から国際的に普及しているFSCとPEFCの評価結果を紹介します。

Standards mapの評価方法は、公開されているそれぞれの制度の規格の要求事項が、世界貿易センターの用意した項目のうちいくつカバーしているかを調べています。
評価項目は、制度の特徴が分かりやすくなるように次の5つに分けられています:

  • 環境(Environment、85項目)- 土壌、水、農薬、廃棄物、生物多様性、二酸化炭素等への配慮
  • 社会(Social、106項目)- 労働者の人権、労働環境、地域貢献等
  • 管理(Management、32項目)- 経済的な健全性、トレーサビリティ等
  • 品質(Quality、6項目)- 品質管理システム
  • 倫理(Ethics、14項目)- 汚職や贈賄の防止、合法性

合計243の評価項目があり、FSCとPEFCはそれぞれ236項目(97%)、183項目(75%)をカバーしています。

評価結果の詳細は、こちらのStandards mapウェブサイトでご確認ください(英語のみ)。