FSCジャパンセミナー開催報告

2016年9月30日(金)、FSCジャパンセミナー「国際森林認証FSCと地方創生-FSCに取り組む自治体首長からのFSC認証材供給応援宣言-」を開催しました。

FSCジャパンセミナー「国際森林認証FSCと地方創生-FSCに取り組む自治体首長からのFSC認証材供給応援宣言-」 (© FSCジャパン)© FSCジャパン持続可能な2020東京オリンピック・パラリンピックのキーワードの下、森林認証木材マーケットへの関心が高まっています。このセミナーでは、国産FSC認証木材の利用をテーマに、国内のFSC認証林とユーザー企業の皆様をお招きして、協働プロジェクトのご紹介や、双方の関係づくりによるFSC認証木材活用の可能性を提示いただきました。
また、プログラムの最後にはFSC認証材の供給推進にご賛同いただいた各自治体の首長の皆様を代表して、三重県知事、尾鷲市長、浜松市長、美幌町長、西粟倉村長により、FSC認証材供給応援宣言が行なわれました。

セミナーには、定員を上回る約160名の皆様にご参加いただき、大盛況のうちに終了いたしました。以下に各セクションの簡単な報告を掲載いたします。


来賓挨拶

林野庁次長 沖 修二 氏

森林認証制度は、森林・林業関係者だけのためのものではなく、消費者が購買活動を通じて森林の多面的機能と持続的発展に貢献できる制度であり、林野庁としても森林認証制度の普及に努めていきたいというメッセージをいただきました。また、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の調達基準において認証材が認められていることや、G7伊勢志摩サミットでのFSC認証材利用の事例に触れながら、認証材が益々注目されるようになっていくことへの期待をお話しいただきました。


基調講演
「東京五輪を地方創生に生かす - 持続可能な調達が企業と地域を結ぶ -」

日経エコロジー編集&日経BP環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー 藤田 香 氏

東京オリンピック・パラリンピックに向けた持続可能な調達基準の策定・運用の中から特に「持続可能性に配慮した木材の調達基準」について、更には持続可能な調達の世界的な潮流をご紹介いただきました。また国内のFSC認証林と企業との連携事例から、オリンピック・パラリンピックに向けた具体的な取り組みにも言及いただきました。

当日の資料が下からダウンロードできますので、あわせてご覧ください。


事例紹介

2016.9.30 FSCジャパンセミナー 事例紹介(1)浜松信用金庫における天竜材利用
浜松市 林業振興課 課長/天野 幸夫 氏
浜松信用金庫 法人営業部 地方創生戦略推進センター 調査役代理 神村 明洋 氏

全国で初めて複数の森林組合が連携してFSC認証を取得した経緯や、地産地消と地産外商からなるFSC認証推進の取り組みについてお話いただき、更にユーザー側が利用しやすい制度であるFSCプロジェクト認証の実例として浜松信用金庫の店舗におけるプロジェクト認証取得の取り組みをご紹介いただきました。

(2)伊勢志摩サミットにおける尾鷲ヒノキ利用
株式会社イトーキ ソリューション開発本部 金原 徹 氏
森林組合おわせ サミット総合担当 濱田 長宏 氏

日本で最も早くからFSC認証を取得し、以来日本のFSC普及に大きく貢献してきたこの地域の紹介と、G7伊勢志摩サミット2016でのFSC認証材利用の事例をご紹介いただきました。日本の木材の魅力や伝統技術とデザインを制作風景とともにご紹介いただき、最後にはオリンピックに向けたメッセージもいただきました。こちらのニュースもあわせてご覧ください。

(3)スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社における南三陸杉利用
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 営業本部 ディストリクトマネージャー 川分 宏之 氏
南三陸森林管理協議会 事務局長 佐藤 太一 氏

南三陸森林管理協議会からは、震災からの復興に向けてバイオマス産業都市構想を掲げる南三陸町における、川上から川下まで一体となった計画的なFSC認証取得と製品づくりの取り組み、FSCを活用した復興から成長産業化へ道筋をご紹介いただきました。大きな活力を感じさせるプレゼンテーションでは、全体構想の中でFSCのブランド力をどのように発揮すべきかをご提示いただきました。 また、コーヒー豆の生産における生物多様性への配慮から、店舗資材におけるFSC認証材の活用まで幅広い取り組みをされているスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社からは、南三陸町で実施された、FSC認証について学ぶスタッフ向け健康保険組合ツアーの様子をご紹介いただきました。

(4)三菱地所グループにおける山梨県産材利用
山梨県 森林環境部 県有林課 県有林計画担当/堀内 直 氏
三菱地所ホーム株式会社 発注購買部 専任部長/田中 暁 氏

日本で一番大きなFSC認証林を有する山梨県からは、認証林の樹種割合、昨年度のFSC認証材の販売実績、生産されているFSC認証製品など、ユーザー側がより具体的にFSC認証材利用をイメージできる情報をご紹介いただきました。 三菱地所ホーム株式会社からは、三菱地所ホーム環境設計指針の紹介に始まり、木造注文住宅建築における具体的な事例を通じた国産材と認証材の採用率の向上について、そして安定供給とブランド化を目指した山梨県との連携について、さらに今後の取り組みとして認証合板の標準採用化、木質系建築資材の利用促進についてお話いただきました。

事例紹介についても当日の資料が下からダウンロードできますので、あわせてご覧ください。


パネルディスカッション
「FSC認証国産材の活用 - 今後の展開と地域の活性化 -」

2016.9.30 FSCジャパンセミナー パネルディスカッション基調講演にご登壇いただいた日経エコロジー編集&日経BP環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー 藤田香 氏をコーディネーターにお迎えし、パネリストには、事例紹介いただいた方の中から、FSC認証材の供給者側として浜松市 天野氏、森林組合おわせ 濱田氏、南三陸森林管理協議会 佐藤氏に、またFSC認証材のユーザー側として株式会社イトーキ 金原氏、三菱地所ホーム株式会社 田中氏にご登壇いただきました。

「 FSC認証国産材の活用 - 今後の展開と地域の活性化 -」というテーマのもと、供給側からは、FSCが地域材の新たなブランディングに貢献している、地域企業の水平連携や他地域の企業との新たな連携の力となっている、また持続可能な社会を築くための林業界における指標になっているという意見がだされ、FSCが企業や人をつなげる「きっかけ」や「パスポート」になっている、また街づくりの旗印になっていることがよくわかりました。一方ユーザー側からも、体験ツアーの実施などFSCを活用した顧客への新しいアプローチや、認証製品の製造に関わる事業者間で、ともにFSC認証に取り組むことで、コミュニケーションや共感が生まれ、次の仕事につながっていく効果が紹介され、ただの国産材とFSC認証国産材には確実な違いがあるという力強いメッセージをいただきました。


首長によるFSC認証材供給応援宣言

FSCジャパンセミナー「国際森林認証FSCと地方創生-FSCに取り組む自治体首長からのFSC認証材供給応援宣言-」 (© FSCジャパン)© FSCジャパンこの日の最も注目されたイベントのひとつとして、FSC認証材の供給推進にご賛同いただいた20の自治体の首長の皆様を代表して、三重県知事、尾鷲市長、浜松市長、美幌町長、西粟倉村長による、FSC認証材供給応援宣言が行なわれました。

三重県知事 鈴木英敬氏からは、宣言にあたってのご挨拶として次のメッセージを頂きました。「20の自治体の首長による共同宣言に参加できるという、大変光栄な機会に恵まれたことに感謝します。三重県の林業は伝統と革新の地です。日本のFSC認証発祥の地という革新性が、この度G7伊勢志摩サミットで三重県のFSC認証材が採用されるという新たな歴史につながり、我々にはこれから更に持続可能な林業を推進していく責任があることを再認識しました。その決意を新たに今回共同宣言させていただきます。」

その後、浜松市長 鈴木康友氏からは「“育てる林業”から“売れる林業”への進化に向け天竜材のブランド化を目指す中、グローバルスタンダードであるFSC認証の取得を決めました。オリンピック、パラリンピックを契機にFSC認証材を爆発的に普及させるべく、これまでに培ってきたサプライチェーンを生かして、まずは我々から頑張っていきたいと考えています。」という力強いメッセージをいただいた後、宣言文が読み上げられました(※宣言文は下記参照)。

また、各首長による宣言文への署名の後、尾鷲市長、美幌町長、西粟倉村長から次のメッセージをいただきました。

尾鷲市長 岩田 昭人 氏:「尾鷲地域の伝統林業に加えて、適切な森林管理、そして地域の社会的な利益にかなう、経済的に持続可能な森林経営を推進するという目的の中で平成15年に市町村有林単独では初めてFSC認証を取得しました。今後ともFSC理念を引き続き、森林経営に活かしながら全国にFSC理念を広げていきたい、そしてFSC認証製品が消費者に届く社会を目指したいと考えています。」

美幌町長 土谷 耕治 氏:「平成17年にFSC認証を取得してから、今日まで11年間に渡って森林認証を中心に町産材使用住宅への助成や川上に対する助成など様々な取り組みをしてきました。これからはFSCを取得している皆様、ユーザーの皆様、FSCジャパンの皆様の3者としっかり力を合わせ、一緒に新しい取り組みをしていきたいという覚悟です。」

西粟倉村長 青木 秀樹 氏:「私の地域では実は、優良材の陰に隠れた間伐材が主役です。私の村は間伐材を合板などのように姿を変えるのではなく、無垢のまま出しています。これら安くて節があり、傷つきやすい材が大都市の保育所などで活躍しています。このような多様性を守ることが持続可能な社会を築くのだという意識の下で、私たちはFSCにも取り組んでいます。私はこれからもFSCという非常に素晴らしいシステムで間伐材の多様性を担保し、安心して、胸を張って皆様に訴えていきたいと考えています。」

また当日は残念ながら参加いただけなかった首長のうち、山梨県知事殿、日南町長殿からも代理の方を通じて次のメッセージをいただきました。

山梨県知事 後藤 斎 氏:「本県のFSC認証林が国内のFSC認証林の約4割を占めることから、この優位性を活かしFSC認証材の販路開拓や安定供給に向け、やまなしFSC認証材販売促進プロジェクトに取り組んでいます。東京オリンピック・パラリンピックに向けた認証材需要への供給体制を確立し、今後10年間で75万立米の認証材を生産する計画です。これらの取り組みがFSC認証材を扱っている皆様の応援につながれば幸いです。」

日南町長 増原 聡 氏:「本町では森林由来の貴重な生態系を保全する目的で平成22年にFSC認証を取得しました。今年の4月のアースデーには全国初のFSCプロジェクト認証の道の駅をオープンしました。東京オリンピック・パラリンピックでの認証材使用が国内でのFSC認証材流通の大きな起点になると確信しています。認証材の流通を通じて、地方の活性化にもつながるように皆様で頑張ってまいりましょう。」


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 首長によるFSC認証材供給応援宣言文賛同者一覧(五十音順、敬称略)
岩泉町長 伊達勝身、尾鷲市長 岩田昭人、川根本町長 鈴木敏夫、岐阜県知事 古田肇、静岡県知事 川勝平太、四万十町長 中尾博憲、下川町長 谷一之、住田町長 田欣一、高山市長 國島芳明、西粟倉村長 青木秀樹、日南町長 増原聡、浜松市長 鈴木康友、東白川村長 今井俊郎、檜原村長 坂本義次、美幌町長 土谷耕治、三重県知事 鈴木英敬、南三陸町長 佐藤仁、諸塚村長 西川健、山梨県知事 後藤斎、梼原町長 矢野富夫


協力企業挨拶

株式会社イトーキ 代表取締役社長 平井 嘉朗 氏

最後に、本セミナーの会場をご提供いただいた株式会社イトーキの代表取締役社長 平井 嘉朗氏にご挨拶をいただきました。
会場となったイトーキ東京イノベーションセンター SYNQAにおける、地域産材の活用や、オフィスの全体認証では日本初となるFSCプロジェクト認証取得についてご紹介いただくとともに、「オフィスにおいても温かみのある木材の利用が見直されてきているなかで、持続可能な社会に向けて民間企業として積極的に使命感を持って世の中に貢献していくために、我々の強みである家具作りや内装材への地域産材とFSC認証材の利用を通じて森林保全と地域創生に役立ちたい。」という熱いメッセージをいただきました。


FSC認証製品の展示

2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示セミナー会場のイトーキ東京イノベーションセンター SYNQAの1階では、各地の認証取得者や関係者の皆様のご協力により、全国のFSC認証木製品を集めた展示を実施いたしました。


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示


2016.9.30 FSCジャパンセミナー 認証製品展示


ご協力いただきました首長の皆様、ご登壇者の皆様、セミナーにご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
本セミナーでは、国際森林認証FSCを活かし、ともに地方創生へと向かうことが力強く宣言されました。FSCの普及・推進において、新局面を迎えたことが確認されたもので、今後とも皆さまのご理解、ご支援を賜れば幸いです。

本セミナーに関するお問い合わせは、河野(e.kohno@jp.fsc.org)までご連絡ください。


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