ニュースルーム


Tuesday, 17 October 2017
FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン

FSCジャパンは、2017年9月8日(金)に橘学苑高等学校(神奈川県横浜市) のデザイン美術コースが実施する森林学習に参加しました。FSC認証林である三井物産株式会社所有の亀山山林(千葉県君津市)と、集成材の製造・加工を行う株式会社ティ・エス・シーの工場(千葉県木更津市)を見学する一日体験授業です。


この森林学習は「自然環境にやさしい椅子づくり」の授業の一環で、デザイン美術コースの2年生を対象に、素材やデザイン、環境問題について学ぶことを目的としています。デザイン美術コースでは、この取り組みを13年続けており、三井物産と協働しての授業は今年で4年目とのことです。すでに9月4日(月)には実際に山林を管理している三井物産フォレスト株式会社の出前授業が行われており、生徒たちは森の循環や管理のしくみについて学んでいました。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン山林に向かうバスの中で、美術科の平町公先生が今回の森林学習の目的を生徒たちに説明しました。「自分の手に届いた材料には、木を育て、切り出し、加工するなどすでにさまざまな人の手が加わっています。どんな材料であっても、その人たちの想いや技術を大切に考えてデザインすることで奥の深い作品になります。作品を大事に育て、自分以外の人に伝えていくことが、デザインで世の中を変えていくことにつながっていくと思っています。」

当日のゲストとして、この森林学習に携わってきた木工デザイナー小田原健氏とともに家具をデザインされてきた、テキスタイルデザイナー越川久子氏が参加されました。小田原氏は、国産材の針葉樹を活用し、日本の森の再生や林業に携わる職人文化の再構築など、精力的に取り組まれています。越川氏は、小田原氏の想いが込められた作品に最適な布張りのデザインなどをされています。

また、FSCジャパンの河野からは、世界の森林破壊の問題や日本の森林の現状や課題、なぜFSCが重要なのか、日常生活とどんなつながりがあるのかを具体例を含め生徒たちに紹介しました。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン学校を出発してから1時間半ほどで亀山山林へ到着です。枝打ちや下草刈り、間伐をしてさまざまな手入れが行き届き、まっすぐと美しく育った木々が立ち並んでいます。木を建築材として使えるようになるまでには60年育てる必要がありますが、この森の木々は57年経っているそうです。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン間伐の現場を見に行く前に、三井物産フォレストの藤田昌也氏が森の講義を行いました。林業の世界では、森を切り出すところを「川上」、加工するところを「川中」、みなさんが使うところを「川下」と呼び、その循環が成り立って初めて、バランスよく森を使って守っていくことができることを教えてくださいました。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン講義の後は安全のためにヘルメットを装着し、木材を切り出すための“作業道”を歩いていきます。途中から細く険しい道を登り下りし、ようやくチェーンソーの音が響き渡る間伐の現場にたどり着きました。

森の中から、「メリメリメリ…ダーン!」という一本の大きな木を切り倒す迫力ある音が聞こえてきます。間伐が、職人の技を必要とする命懸けの作業であることを目の当たりにします。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン間伐の現場を見学した後は、思い思いに森の木々のスケッチを行いました。さすがはデザイン美術コースの生徒たち、ここぞという景色を見つけサラサラと描き上げました。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン森の見学の後は、ティ・エス・シーの製材工場に向かいます。工場内には激しい機械音とともに木の香りが広がっていました。木材をオーダーメイドで加工するための、さまざまな特殊な機械を見ることができました。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン「フィンガージョイント」という木材の端部を指と指を組み合わせたようにジグザグに切断し相互にはめ込んで接着する技術や、図面を機械に読み込ませその図面どおりに切り出すことができる加工など、自由自在に木が形作られます。木の種類や特性を知り尽くした、熟練の職人だからこそなせる技でした。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパン工場の隣には小田原氏が手掛けたショールームがあり、そちらも見学しました。床、天井の内装からドアなどの建具、収納やキッチン、テーブルや椅子、ベッドなどの家具に至るまで国産スギ・ヒノキなど針葉樹を使っています。家全体に木のやさしい空間が広がり、一つ一つの家具から木のぬくもりが心地よく体に伝わってきました。生徒たちも「すごく癒される」「ここに住みたい」と居心地の良さを体感し、木の魅力を存分に味わっている様子でした。

FSCジャパン 橘学苑デザイン美術コースの森林学習に参加 (© FSCジャパン)© FSCジャパンショールームの中で、ティ・エス・シー取締役会長の田渕和正氏が木材について講義を行い、「いま木が人を癒す効果に対する科学的研究が進んでおり、血圧が高かった人も森林浴により数値が下がるなどの効果も見られています。森林の価値を見直す動きが広がっているのです。木は切られた後も、建物となって何百年、年千年と第二の人生を歩むことができる、価値ある資源と思います。」と語りました。

森林学習を終えた生徒たちは、「木を伐採することは悪いと思っていたけれど、管理のために森のために伐るということ初めて知った」「現場の人がどれだけ苦労をして木を育てているかが分かった」など、実際森を見に行って気付いたことが多かったようです。また「つくる人、それを支える人のことを知ったからには、その人たちのことを意識して使っていかなければならないと思った」「デザインの仕事が人と深く関わっていることを知った」など、デザインが与える影響について学びを得ていました。

今年12月頃には、実際に今回見学に行った森からとれた材木が生徒たちの手元に届き、それを使って椅子をデザインし来年4月頃に作品として発表する予定とのことです。今回得られた気付きや発見を胸に、生徒たちが来年春どのような作品をつくるのかとても楽しみです。


© Forest Stewardship Council® · FSC® F000218