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Tuesday, 04 June 2019
FSC日本国内森林管理規格勉強会を実施しました

集合写真 (© FSC Japan)© FSC Japan

2019年5月20日、21日に掛川市森林組合にてFSC日本国内森林管理規格勉強会が実施されました。2001年に検討が開始された国内規格ですが、紆余曲折を経て昨年11月にようやく正式承認、公開されました。これに伴い、新規格に基づく審査・監査が始まることを受け、FSCジャパンではFSC日本国内森林管理規格勉強会を企画、実施いたしました。


初日導入セッション (© FSC Japan)© FSC Japan当日は、掛川市森林組合の新事務所に14団体からのべ26名が集まりました。

FSCジャパンからの開会の挨拶の後、まずは掛川市森林組合の概要、FSC森林管理認証を取得した経緯、現在の課題等のお話をいただきました。掛川市森林組合は、遠州森林認証グループの一員として2017年3月にFSC森林管理認証を取得して以降、活発なPR活動を展開しており、その事例の紹介もいただきました。

現場1 (© FSC Japan)© FSC Japan1日目の午後には、天候の芳しくない中でしたが、施業現場を訪問し、作業道の開設、支障木の造材・搬出、利用間伐、試験的な小規模皆伐およびその後の再植林と獣害対策などについて、現在のFSC要求事項に則った管理や新規格における変更点の確認をしました。

参加者からは、林道法面に吹付けられている牧草、作業道の設計、地籍調査の進捗度合い、境界確認方法、間伐や皆伐に使用される機械、新植地の獣害対策、苗の手配、苗の種の多様性、自然災害に対するリスク管理、女性作業員の活躍できる環境づくり、森林ボランティアの安全管理など多岐に渡る質問が出され、それぞれ現在どのように対応しているか、難しい点は何か、新規格において新たに対応が必要となる点はあるかについて議論がされました。

現場2 (© FSC Japan)© FSC Japan特に、新植地での獣害対策については、参加者からの関心も高く、単木保護のメリット・デメリット、柵設置のメリット・デメリットやそれぞれの補助金事情や費用対効果、設置にかかる工数などについて活発な情報交換が行われました。

ディスカッション (© FSC Japan)© FSC Japan1日目の最後から2日目にかけては、事務所で新規格の導入による影響や変更点、認証取得者として対応が必要な点、認証機関として対応が必要な点などについて、特に以下の点について議論をしました。

  • 基準1.7:新しい要求事項である汚職防止の誓約と汚職防止手段について、どのような対応がされているか。
  • 基準2.2:男女平等のための活動について、課題や事例を知りたい。
  • 指標2.3.2:放射能汚染の危険性が高い地域の調べ方、ILOの定めている安全装備の妥当性、森林ボランティアの安全確保について課題があるか。
  • 指標2.3.6:労働災害の頻度と重篤性について、審査可能か。
  • 指標2.3.7:安全レベルの継続的な向上についてどのように判断するか。
  • 指標2.4.1:生活賃金の計算方法。
  • 指標4.1.1:慣習に合った方法での協議という表現の具体的なイメージを知りたい。また対象となる地域社会とは具体的に誰かについて意見のすり合わせをしたい。
  • 指標4.1.2:地域社会の権利の文書化・地図化が求められているが、特に入会林などで難しい点はあるか。
  • 指標4.2.4:地域社会から同意を得る、というのは森林所有者からの同意だけではだめか。
  • 指標6.1.1:多面的機能に関する情報収集について、どの程度の活動が求められるのか。
  • 指標6.7.1:バッファーゾーンの設定方法とその幅(大きさ)についての意見交換。
  • 基準9.1&9.2:高い保護価値(HCV)の中でどの程度のものまで文化的な価値があると判断すべきか。
  • 指標10.9.1:自然災害の近年の傾向分析について、どのような活動が求められるか。
  • 指標10.9.2:自然災害の影響を軽減するような森林管理について意見交換。
  • その他:皆伐後に地拵え前に野焼きをするような管理方法は認証対象になるか。
  • その他:今後の国内規格改定で非木材林産物も対象とする予定だが、含めるべき非木材林産物は。

また、現在FSCジャパンで作成中の「日本における高い保護価値(HCV)- 実践ガイド-」を紹介し、日本においてはまだまだそのコンセプトが浸透していない高い保護価値(HCV)について、その特定方法など認証取得者の具体例をお話しいただきながら、参加者全員で理解を深めました。

さらに、5月に公開され8月に発効予定の改定農薬指針の内容について共有をし、また現在行われているFSC日本国内森林管理規格の改訂作業についての進捗共有と今後のスケジュールを確認しました。

集合写真 (© FSC Japan)© FSC Japan最後に、遠州森林認証グループの認証材をふんだんに使用し、公共の観光施設として日本初のFSC全体プロジェクト認証を取得したばかりの「粟ヶ岳世界農業遺産茶草場テラス」を訪れ、その素晴らしい景色と空気を存分に味わいながら2日間にわたる勉強会は幕を閉じました。

参加者の皆様からは新規格の勉強だけでなく、普段話す機会のない方々と様々なトピックに渡り議論ができ有意義であった、他地域での取り組みを知ることができてよかったなど好意的な意見が多く寄せられました。

ご参加いただきました皆様並びに、多大なるご協力をいただきました掛川市森林組合様には、あらためて感謝申し上げます。


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