ニュースルーム


Tuesday, 09 June 2020
FSC森林認証制度をバイオマスの固定価格買取制度(FIT)に活用する際のご注意

Press Release

FSCジャパンは、固定価格買取制度(FIT)を活用したバイオマス発電事業において、ベトナム等の国からの輸入木質ペレットでFSC認証偽装が行われているとの懸念に関して、FSCジャパンとしての公式見解を発表しました。


現在、固定価格買取制度(FIT)を活用したバイオマス発電事業において、ベトナム等の国からの輸入木質ペレットでFSC認証偽装が行われていることが疑われています。この根拠として、認証林面積から試算された生産量を大幅に上回る量の認証ペレットが日本や韓国に輸入されていることが挙げられていますが、FSC認証制度上は認証林に由来しない他の原材料の使用も認められるため、認証林面積から試算された生産量と認証ペレットの輸入量の不整合が必ずしも認証偽装を示すものとは言えません。FSC認証では、独立した第三者機関による定期的な監査により認証取得者がFSCの認証基準に沿った認証材の取扱や管理を行っているかが確認されますが、この問題は認証取得者による認証材の取扱や取引行為以外にも下記のようなFSC認証制度外の要因にも起因する可能性があります。

FSC認証を取得していない事業者(非認証取得者)による不当な認証材取引

例えば、本来製品を認証材として取扱うことのできない非認証取得者による「認証材」の取引は、それ自体が認証偽装と言えますが、適切な知識やチェック機能がない中では、当事者間の認識上では「認証材」としての不当な取引が成立してしまうということが考えられます。このような認証偽装が判明した場合、FSCでは商標違反として法的措置を取ることになりますが、このようなFSC認証制度外でのFSC認証材の利用に伴うケースについては、FSCの調査・監督権限および認証取得者に対する調査の効果も限られるため、これに対処するには、バイオマス事業関係者やFIT制度の運営の皆さまからのご理解とご協力が欠かせません。

FSCミックスバイオマスのFIT制度における不適当な利用

FSC認証は本来、持続可能な森林の利用に寄与する原材料を適切に使った製品を認証ラベルによって識別し、消費者に届けることを目的として作られた制度であり、必ずしもバイオマス発電もしくはFIT制度における証明に合った設計にはなっていません。FSC認証とFIT制度では原材料の分類や要求される原材料の取り扱い方法も異なります。FSC認証制度上は認められる原材料の混合も、分別管理が要求されるFIT制度上は留意が必要であり、FSC認証材をFIT制度における証明に適切に使用するには、FSC認証とFIT制度についての正確な知識が必要です。FIT制度における証明のための安易なFSC認証材(特にFSCミックス材)の利用は、内容物についての誤解につながる恐れがあります。

例えば、FSC認証制度上は、定められた基準を満たした建設資材廃棄物は「ポストコンシューマー回収原材料」という原材料分類でFSC認証林由来の木材と同等の扱いとなりますが、FIT制度では建設資材廃棄物を森林に由来する木質燃料として取り扱うことはできません。より低い買い取り価格が設定されている建築廃材等の原材料を含むFSCミックスバイオマスを一律に一般木質バイオマスとして販売することは、原材料の中身に見合わない金額のFIT賦課金を不当に得ることにつながる可能性があります。

更にFSC認証制度では、非森林由来の原材料も「中立原材料」として混入が認められていますが、これらの原材料には認証基準が適用されません。つまり、バイオマスペレットに農業残渣であるもみ殻、バガスやパーム椰子殻(PKS)等、非森林由来の原材料が含まれる場合も、FSC表示は含まれる森林由来の原材料のみを対象とし、その表示からは木質原材料のみからなるペレットとの判別は不可能です。しかしFIT制度では、上述の建設資材廃棄物同様、農業残渣を原料とするバイオマスは一般木質バイオマスとは別のものとして管理されるべきものであり、その調達には原料種別に応じて持続可能性(合法性)の証明や第三者認証が必要となります。農業残渣からの原材料を含む可能性があるFSC認証バイオマスについて原料種別に応じた証明等を行わず、一律に一般木質バイオマスとして取り扱うことは、FIT制度上は虚偽表示になりかねず、それにより農業残渣からの原材料に対して本来必要な検証が行われなくなってしまう恐れがあります。

今後について

森林の持続可能な利用に貢献する信頼のラベルを消費者に届けることを目的とするFSC認証において、建築廃材を含む回収資源や農業残渣等の非森林由来の原材料の混合が許されることは制度上意図された設計であり、批判には当たりません。それがFIT制度上問題であるならば、それを認識した上で認証材でも適当なものだけが使われるよう、FIT制度側で体制を整えていただく必要があります。FSCジャパンではFIT制度を設計・運営する各機関にも働きかけ、FSC認証がFIT制度において適切に利用され、持続可能なバイオマス利用に貢献できるよう、継続的にインプットを行っていきます。

同時に、バイオマス取引においてFSC認証を利用される全ての事業者さまに対し、FSC認証を利用されるに当たっての注意点を記した文書をご用意いたしました。下記よりダウンロードいただけますので、バイオマス事業者の皆様には、是非ご確認いただき、FSC認証材の適切な利用にご協力いただきますようお願い申し上げます。

また、指摘されているFSC認証偽装の可能性については、FSC認証制度では管理木材、回収原材料、中立原材料等、認証林に由来しない原材料との混合も認められているため、認証林面積から想定される収穫量を上回る量の認証ペレットが輸入されていることが必ずしも認証偽装や不正取引を示すものとは言えません。しかしFSC認証取得者による不正の可能性については、FSCの信頼性を脅かすものとして、FSC認証内における不正を調査する役割を担うFSC本部サプライチェーン・インテグリティチーム、認証機関を監視しFSC制度の信頼性を守る独立機関、Assurance Services International (ASI)と問題を共有し、適切な調査が行われるよう今後も努めていきます。

本件に関するお問合わせ先

FSCジャパン 広報
担当:河野
Email:e.kohno@jp.fsc.org

FSCジャパン PR事務局
担当:宮脇
TEL:03-5572-6527
Mobile : 090-3967-7682
Email : info@fsc-pr.jp

※@を半角に変えてください。


© Forest Stewardship Council® · FSC® F000218